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10.合流しました


「……どちら様ですか? 私、イケメンの知り合いは、いな……」


「お・前・なっ!わかってて、ふざけんのは、やめろっ!!」


 誰だかわかってるけど、ここは敢えて真顔で尋ねる。そうしたら、目の前の憎たらしいほど顔が整ったイケメンに怒られた。ついでに軽く頭を叩かれる。

 チッ、フレンドだからセクハラ防止機能が発動しなかった……あとで、少し設定いじっとこうかな。


「ちょっとした冗談じゃない。全く、ソーンはノリが悪いなぁ」


「お前の冗談はわかりにくいし、そのノリに全部合わせてたらこっちが疲れるっての!!……で、さっきの何?」


 そう問われたので、簡単に今までの経緯を説明する。

 とりあえず、ソーンとcall終了後になんか変な3人組に絡まれて困ったから、速攻でGMコールしたって。

 ソーンはそれを聞いて驚いたあと、ムッとした表情になって、そして心配そうな顔になる。私はあまり表情が変わらないらしいから、くるくる表情が変わるソーンの顔を見て忙しそうだなぁとか暢気に思ってた。


「なるほどな…大丈夫か? 待ち合わせ場所行ってもいなくて、まさかと思って騒がしい方見たらお前がその騒ぎの中心にいるしさ……」


「うん、大丈夫。セクハラ防止機能があったし、最悪、ログアウトしちゃえって思ってたから。むしろ、ソーンこそもう少し早く来れば、その見た目通りに、絡まれてる女の子を颯爽と助ける騎士様カッコいい☆ができたんじゃない?」


 なんとなく心配した顔をさせるのが申し訳なくて、そんな風に茶化してみる。そうしたら、ソーンがまたムッとした顔して、デコピンされた。今度は手加減なんてされてなかったから、めちゃくちゃ痛い…!!!


「〜〜〜っ!!!! 何するの、痛い」


「お前の悪い所だぞ、そうやってすぐ何かと茶化すの。とりあえず、俺が来るのが遅かったからだな、最初からここで待ってりゃ良かったわ、悪かった」


 そう言ってまるで自分のせいだって謝ってくるから、何も言えなくなってしまった。ソーンが謝る必要なんてどこにもないんだけどなぁ……。あの場で変なのに絡まれたのだって、ほぼ不可抗力だし。


「別にいいよ。それよりも街を案内してくれるんでしょ? それに、連れて行きたいところがあるってメールに書いてあったけど、どこ?」


 とりあえず、話を逸らすことにしよう、うん、それがいい。

 このままだと、しばらくソーンはこのことをうじうじと引きずるだろうし、私もそれは勘弁してほしい。だから、全力で話を逸らす。

 そう思って、メールに書いてあったことを本人に確認してみた。

 ソーンとのcall中にちゃんと読んだんだよ、全部。……まぁ、届いた時はスルーしてたけどさ。

 その中に「連れて行きたいことがあるから」と書いてあったので、そのことについて聞いてみる。場所ついては何も書いてなかったから気になっていた。

 ……まぁ、それよりも私は、早くこの場から立ち去りたい気持ちでいっぱいだったけど。


 だってさ……




 ただでさえ、GM呼んでの例のあの騒ぎの後ですよ?!?!


 そこに、この見た目だけは、ただのイケメンな白銀の騎士様がご登場ですよ?!?!


 これで目立つな!!っていう方が無理だわっ!!!!


 


 ……というわけで、先程から周りの人の視線(一番は女子の視線)が痛いんだ。

 それに、ちらほら聞こえる会話に「あれ…トッププレイヤーの…」やら「リア充…爆発すればいいのに…」とか聞こえてくるし、好奇と妬み的な視線もグッサグサ刺さってて、私達、見世物じゃないんだけどな……正直めんどくさいし、うざったい。


「あぁ、それか。それは行ってからのお楽しみってやつだな。まぁ、変な所には連れてかないから安心しろよ」


「ソーンのことだし、その辺りは信用してるから大丈夫」


 速攻で答えたら、なんかソーンが頭を軽く抱えた。小さい声で、何かをぶつぶつ言ってるけどよく聞こえない。

 じっと見ていたら「はぁ……ユズリハだもんな……うん、仕方ない…だって、ユズリハだし」とか言ってた。なんか失礼なこと言われてる気がするが、無視しとこ。


「ねぇ、行くなら、さっさと行こう。あと、そろそろ死活問題になるので、早急にフード付きのケープかマントが欲しい。どこか途中で洋服売ってるところ連れてって」


 なにやら思考の海に沈んでるソーンを引き戻すように、くいっと袖を引っ張って注意を引いてみる。ほら、早よ戻っておいで、と。くいくい袖を引っ張りつつ、俯いてる顔を覗き込んだ。


「っ!! 悪りぃ、ちょっと考え込んでたわ。んで、フード付きの服?? なんでそれがすぐ必要なんだよ?」


 はっ!と意識がこっちに戻ってきたソーンは不思議そうにそう尋ねてくる。一番に揃えたくなるの1ランク上の武器か装備だろ?と。

 普通はね、普通だったら、私もそうしたいのは山々なんだけど……。


「ただでさえ、種族特性の影響で世界がキラッキラ輝いて眩しくて、その影響でソーンもキラッキラ3割増しになってて、見てると眩しくてうるさいから」


「はぁ? なんだよそれ?」


 心底、訳がわからんっという顔をしたソーン。そりゃそうだろう、私だってこんな説明されたら、同じ反応するわ。

 でも、ずっと我慢してるんですよ……先程から日差しの影響で周囲がキラッキラ眩しく輝いてるし、さらにソーンの金髪が光の反射を受けてキラッキラしてて……。

 本当に、つらいんですよ……目がチカチカしちゃってね……申し訳ないけど…。


「詳しく説明したいけど、ここだと人多すぎるから歩きながらで、お願い」


「……わかった。とりあえずフード付きの服が買える店な。すぐに買える方がいいのか?プレイヤーメイドじゃなくて?」


「うん、今すぐ欲しいから、今の所持金で買えるならどこでも大丈夫」


「うーん、そしたら確かあの店にあった気がする…ゲーム内の店になるけど」


「それでいいよ」


 そんな会話をしてから、並んで歩き出す。まだまとわりつく好奇と妬みの視線はうざったいけど、一箇所にいるよりはマシだ。


 あと、ソーンに説明するのめんどいから、ステータス画面見せよう。ステータス画面を開いて操作する。



【ソーンテイルが貴方のステータス画面を一時的に見ることが出来るように許可しますか? はい/いいえ】



 すぐに「はい」を押してから、私のステータス画面をソーンの前にぽいっと投げた。


「はい、ソーン。これ見て」


「ん? これなに……はぁぁぁっ?!?! おまっ、このっバカ!!簡単に見せんなって!!!」


 思ってた通り、怒られた。他人に自分のステータスやスキルを見せることはしないほうがいい、又は他人のを何でもかんでも聞かないっていう暗黙のルールがあるのぐらい知ってるけどさ。

 とりあえず、会話は他の人に聞かれないように、フレンドチャットに切り替える。


『ソーンなら別に見せても、問題ないってわかってるし、説明するよりは見せたほうが早い』


 私だって見せる相手はちゃんと選んでる。大丈夫だと信用してる相手にしか見せるつもりはない。

 そう伝えれば、ソーンはため息をついた。なんかさっきからその反応酷くないか?


『……俺、お前のそういうところ本当に心配だわ』


『なんか、さっきからちょいちょい失礼だな。……いいや、話戻すけど、種族のところ見て』


『ん?種族…? え、お前、ハーフとか珍しいの選んだのかよ。しかも吸血鬼のって……あっ!』


『そういうこと。だから日中でも行動出来るけど、日差しが3割増しぐらい強く感じて眩しくて……だから早急に日差しを遮るものが欲しいの』


 ソーンは私の種族を見て察したらしい。さすが廃人一歩手前までやり込んでるトップランナー。

 ソーン曰く、βテストの時にもハーフは少数だが居たそうだ。だがほとんどが、竜人やら獣人のハーフばっかりで、吸血鬼は初めて見たと言われた。


『これは掲示板に情報流してないと、騒ぎになりそうな気がすんだよなぁ……ユズリハは、掲示板に書き込むとか…』


『見ることはあるかもしれないけど、書き込みをする気はないよ』


『ですよねー、うん、知ってた』


 このゲームには、ゲーム内で見れるプレイヤー専用の掲示板が存在する。

 それを見る&書き込むにはIDでのログインが必須で、そこで何かしら問題が起きればすぐ個人が特定される仕組みになっているので、早々に荒れることはない。書き込み時は匿名でも書き込めるが、システム側ではID管理されてるので常に見てるぞ?モラルはちゃんと守ってねっの自由度の高い掲示板だ。

 そこでは攻略とかいろいろな情報交換が盛んに行われており、その中でも種族をコンプリートしよう!!という掲示板が今、一番盛り上がっているそうだ。すぐに情報を書き込まずに、後から知れ渡ったら大変な気がするぅ…とはソーンの談。


『初期値ステータスのスクショ撮ってあるよ。あと一緒に出た、幻影種・鬼人と幻影種・吸血鬼のもあるから、ソーンよろしく』


『はぁ?! なんで、そんなにレア引き当ててんの?!?! ってか、俺が書き込む事、前提なのかよ……お前なぁ……』


『匿名でも、書き込むのは苦手、無理』


『はぁ…わかった。このゲームに誘ったの俺だし、それぐらいはやってやるよ』


 思いっきりため息をつかれたけど、スルーしてソーンにスクショを送る。はい、よろしく!っと。

 ソーンに丸投げしてから、フレンドチャットは終了する。

 あ、そうだ、種族で思い出したけど、確認する事が一つあったわ。


「そーいえば、ソーンの種族は人間でいいの?」


「俺? あぁ、種族は人間だけど…それがどうした?」


 ああ、やっぱりそうだったか。

 なら、あれがソーン相手に早速試せるな。そう頭の中で考えつつ、にっこり笑って答える。


「あとで試したいことがあるから、ちょっとご協力をお願いしたいんだけど」


「……なにする気だよ……お前のその笑顔が怖い」


「んー、大したことじゃないよ。大丈夫、大丈夫。すぐ終わるから、あとで手伝ってくれる?」


「なんか嫌な予感しかしない……まぁ、手伝うぐらいなら、いいけどさ」


 とても不審がられたけど、頷いてくれたので、よし。まぁ、試すのはソーンの案内が終わった後になるけど、言質はしっかり取ったからね、フフフッ。

 そして、私たちは目的の場所まで向かうのだった。

ソーンテイルはLv.15で種族は人間。職業は聖騎士、武器は大剣。

βテスターなので、装備とかアイテムは充実してる感じ。

一応トッププレイヤーの1人。

プレイヤーギルドはどこにも所属していないけど、

そのうち気心知れた仲間と作りたいかなぁっと思ってる。

よくユズリハに振り回される苦労人。周りから保護者とか言われてからかわれてる感じ。


それがソーンテイル。

そのうち詳しいステータスもどっかで載っけますー


8/5修正:会話追加とフレンドチャット中の会話を『』表記に変更。

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