謎の神父
早川が歩いて行くと人だかり。
見るとお訊ね者の張り紙がしてある。
李英風の似顔絵が書いてある。
「少林寺の李英風、か」
早川は張り紙を見て頷く。
「噂に聞く少林寺の武芸者か」
ドドドドド。
「退け退け退け」
将軍始め家来達が通りを走り抜ける。
「奴等が清の騎兵隊だな」
早川は着物の埃を払い、歩いて行く。
やがて、遼寧酒店に入る。
「いらっしゃいませ」
主人が応対する。早川は酒を注文した。
程なく神父が店に入って来た。
店内に男の客が二人で話していた。
「少林寺は焼き討ちにあったな」
「ウム、只、李英風を始め残党がいるみたいだ」
「捕らえれば金になるな」
「ただし、李は武術の達人だ」
「我々、二人では難しいだろう」
「見ろ」と客は早川に視線を送る。
早川は、淡々と酒を飲んでいる。
バーン。
騎兵隊の隊長が店内に入って来た。
隊長は早川を見て言った。
「貴様だな。先程揉め事を起こした奴は」
早川が答える。
「そうだろう。多分俺だろう」
「取り調べるから来い」隊長が叫ぶ。
「嫌だと言ったら」
「ナニっ」
隊長隊員は剣を抜く。
早川が立ち上がった。
「やれ」隊長が叫んだ。
「待って下さい。その人は悪くありません」
神父が言った。