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追われる身
一行は再び山道を行く。
茶店が見えて来た。
「よし、あそこで休憩だ」
隊長が言った。
「ふう。疲れてたぜ」
早川は鞘から剣を抜き、血糊を拭い手入れをする。
隊長が話しかけて来た。
「素晴らしい刀剣だな。お主の腕も」
「大したことないさ」
「あいつらが噂に聞く忍者か?」
「そうだが、下っぱだ」
「もっと凄い業を使う奴等がいる」
「どんな業だ」
「刀剣を使わず、例えば火薬などを使う」
「フム。それじゃ剣では勝てんな」
「そんな奴等が来たら逃げるしかないさ」
「成る程。ところで、何故奴等はお前を狙う?」
「密航したことも、あるが、日本では、随分人を切ったので、仇討ちもあるだろう」
「と言う事は、これから先も狙われるのか?」
「多分な。執念深い奴等は海を渡って、この国まで来るだろう」
「そうか」「追われる身なんだな」
隊長は隊員に号令をかける。
「よし出発だ」




