火焼少林寺
明末清初の中国
深夜、少林寺の参道に清の騎兵隊が現れた。
白髪白眉の男が兵隊に命じた。
「やれ」
「はっ、将軍様」
兵隊達は松明に火を着け、境内に向かって投げ入れた。
やがて、境内は火の海と化していった。
宿坊で寝ている僧が起き上がる。
「ムッ。火事か?」
将軍が隊員に号令をかける。
「行くぞ」
「ハッ」
ドドドドド。騎兵隊が階段をかけ登り境内に現れる。
宿坊から棍を持った僧達が飛び出して来る。
騎兵隊を従えた将軍が言った。
「大師は、どこだ」
「私が大師だ」
境内に集まった僧達の間から大師が姿を現した。
「お前が慧空か」将軍が言う。
「皇帝の命によって寺は焼き払う」
「そして、お前を捕らえる事が私の任務だ」
「そうはさせるか」
僧の1人が叫ぶ。
「待て阿空」
「私が戦う」
そう言うと慧空は棍を手に取り構えた。
「良かろう」将軍は馬から降り剣を抜いた。
「ハーッ」
将軍が大師に切りかかる。
大師は棒で剣を払い構えた直した。
「やるな。さすが少林寺棍の達人」
将軍はそう言うと剣先を大師に向け構え直す。
両者の間に張り詰めた空気が流れる。
大師が棍で将軍に突きを放つ。
将軍はこれをかわし、身を回転して大師に切りつけた。
「ウグッ」棍で受け損ね刃が大師の袈裟を切り裂く。
「大師」僧の1人が叫ぶ。
「阿空、手を出すな」
阿空と呼ばれた僧が将軍を睨む。
「この場から去り、ここに向かう李とともに少林寺を再興するのだ。行け」
大師は阿空に命じ、将軍に言う。
「我死すとも仏陀は永遠なり」
「坊主、死ね」
中空に飛び降り下ろした将軍の剣が棍を叩き折り、大師の額を割った。
「阿弥陀仏」僧達が声を上げ、将軍の家来と乱闘する。
しかし、寺は炎に包まれていく。
「退却だ」
将軍が叫ぶ。
騎兵隊が参道まで退却した。
少林寺は炎上。建物が焼け落ちていく。
「ハッハッハッハッ。後は残党をかたずけるのみ」
「行くぞ」
将軍の高笑いとともに騎兵隊が去って行った。