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伊達政宗のあほな話

ネットで見掛けた話を元にしています。ブログに載せた話を引っ張ってきました。何が怖いって、これが実際に残っている話らしいっていう事実。40歳近いオッサンが何してんの……もっとも伊達公は死ぬまでこんな話が絶えませんけど。片倉(2代目)の奥さんにセクハラ発言したりとか。それでも私はこんな伊達政宗公が大好きです。よい子も悪い子も真似しちゃ駄目だよ! 前話から年数が経っており、時は慶長10年(1606年)、純一郎(じゅんいちろう)は30歳(とりあえず長宗我部盛親と同い年で伊達公より8歳年下の1575年生まれという事にしてます。実際の歴史と照らし合わせたりしちゃいけません←)。場所は江戸藩邸にて。今作でも友人のオリキャラを借りています。

 用を言いつけて出掛けさせていた、クロキが帰ってきた。

「殿、ただ今戻りました」

「うんお帰りークロ君、外どうだった?」

「至って平和なものでしたよ。変わった行事もやってましたし」

「変わった行事? どんなの」

 文机に向かっていた俺が振り返ると、長い事仕えてくれているけど相も変わらず愛想の欠片もないクロキが、傅いたまま無表情で言う。

「ええ、下手物食い大会を。殿なら優勝出来るんじゃないですか」

「……あのね、俺は一応殿様だよ? 何でわざわざ食えないようなもん食わなきゃいけないの。確かに俺の腹は丈夫だけどね。それで今回はどんな品目だったの」

「ええと、『子ネズミの特濃みそ汁』だそうです」

「俺はお味噌汁は普通のがいいな!」

「殿、大変です」

「……今度はどうしたの」

 真上から声が降ってきて顔を上げる。見れば、そういえば見た目に全く変化のない俺の忍が天井の板をずらして焦り顔を晒していた。日知(ひじり)は俺が見上げると、大して声を低めもせずに言う。

「伊達藤次郎公が倒れました!」

「ええ!?」

「暗殺ですか」

「いえ、それが……」

 驚く俺達の前で(クロキもわかりづらいけどこれは驚いている声だ)、クロキの問いかけになぜか日知は言い淀む。「何、怪我?」と俺が重ねて問いかけても、日知は頭を左右に振るばかりだ。何があったのだろう。

 6年前の戦いで徳川公の権力がいよいよ盤石になり、俺も藤次郎殿も他の大名に倣い、奥州から江戸に参勤していた。要は徳川公のご機嫌取りなんだけど、ここでいかに彼に取り入るかでこれからの家の運命が変わってくるんだから仕方ない。それはともかく、藤次郎殿はまだ38歳だった筈だ。あの荒くれ者で丈夫な藤次郎殿がそう易々と病気や怪我を負うとは考えにくい。何せ天然痘に罹患しても右目ひとつで助かったような男だ。噂では俺が彼とはじめて顔を合わせた年に家督争いで毒を盛られたとも訊いたけど、いつ会っても元気そうだった。

 その藤次郎殿が倒れたというのだからただ事ではない。「出掛ける準備して」とクロキに命じながら顔を上げた。まだ日知は迷っている様子だ。俺は焦りもあってつい声を荒げた。

「それじゃ何なの。はっきり言いなさい!」

「も、申し訳ありません殿。……あの、それが。食中りなんです」

「食中り? ……何、あの人料理が趣味だし、変な食材でも使った?」

「殿、胴服をお持ちしました」

「いえあの」

 クロキが胴服を肩に掛けてくれたからそれを袖に通していると、再び躊躇い――しかし、意を決した様子で、日知は言った。

「伊達殿、本日の下手物食い大会に参加したそうで」

 脱力した。

「………………殿」

「――あの奥州1の虚け者!!」

 思わず叫んだ俺の前で、天井の日知も目の前のクロキも黙って頭を左右に振った。


「藤次郎殿! あんたアホですか!? お互い三十路過ぎたんですしちったあ一緒に落ち着きましょうよ!!」

「あー、見舞いに来てくれたんですか純一郎殿……ネズミは食うものじゃありませんなぁ」




End.

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