出逢い
第一章
紗栄子「はるか待って!走っちゃダメ!」
はるか「ママ早くー!」
走る娘の背中を必死に追う紗栄子。
さすが4歳児、体力はある。
夫と離婚してから1年、紗栄子は懸命に1人娘を育てている。
紗栄子「また喘息が出ちゃうわよ!」
はるか「もう治ったもーん!」
紗栄子「まったく、、、。」
何のためにパートを早退してきたかと思いながらも安心している紗栄子であった。
産まれた時から小児喘息を患っているはるかは、保育園に通いながらも何度も発作を起こし、母親の紗栄子を不安にさせているのである。
バタン!
紗栄子「はるか!大丈夫!?」
荷物を放り出し、はるかの元へ走る紗栄子。
はるか「えへへ。転んじゃった。」
紗栄子「だから走っちゃダメって言ったでしょ?」
はるか「ごめんなさーい。」
紗栄子「病院の先生にも言われてるんだから、守ろうね?」
はるか「はーい。」
本当に分かってるのかしら?とまだまだ心配する紗栄子。
それもそのはずだ、紗栄子が働いているファミリーレストランに、あろうことか、お昼時の1番忙しい中、保育園から電話がかかり、発作が出たと言う知らせを受けたのである。
暖かな5月の風を受けながら川沿いを歩く紗栄子と走り周るはるか。今月に入って3度目のはるかの発作。複雑な想いで先を行くはるかの背中を見守るのであった。