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私の日記  作者: コーレア
003 暗号編
73/146

030421 大山崎→御苑

 島本町から山城州の大山崎町に入ってすぐに、大山崎駅を通り過ぎる。

 織田信忠公と明智光秀がぶつかった山崎の古戦場などで有名な大山崎駅を過ぎ、新幹線と別れ、駅の手前で別れていた阪名本線の線路が真上に来る。


「おおー」


 北近畿鉄道右淀線、官鉄山陽道本線、阪名本線が立体交差する光景に、思わず小さな声が漏れる。天王山と桂川の間の斜面の上の方を、右淀線()阪名本線()と山陽道本線が寄り添いながら走る先に、左右に走る高速が見えてくる。その山陽自動車道は鉄道の上下コンビで普通より盛り上がった形になっているが、その代わりなのかは知らないが上下コンビには天王山駅が設けられ、自動車道にはバスストップが作られた。

 その辺りから山陽道本線は東へとずれるのだが、阪名本線は上に乗っかったまま進む。大名・阪名の路線なら長岡市内唯一の駅であり長岡天神駅を通り過ぎ、川を越えて向日市に入った先の西向日駅で止まる。


「にへへ……」

「……………………」


 かつては右淀線の線路から別れていたらしい阪名本線は日傘代わりは済んだとばかりに東に進路をとり、右淀線に乗り入れている地下鉄東西線も西へと別れる。

 久しぶりに1人になった線路の上を列車は軽快に走り東向日駅、物集女(もずめ)駅と過ぎて嵐山線と別れる桂駅に着く。北東には安土時代初期の造営当初の庭園と建築物を遺しており、当時の文化の粋を今に伝え、回遊式の庭園は日本庭園の傑作とされ、今でも皇族の北方宮の列島滞在時のお宿として使われる桂離宮があり、417年前には反逆者の軍勢が通ったかもしれないその桂駅を出ると、線路は東に曲がる。嵐山の景観の1つである淀川水系の1つ・桂川を渡り、競技場が近くにある西京極駅を過ぎると、いよいよ列車はかつての平安京の範囲内に入る。

 私の学校の場合は『なくよ(794年)いい国(1192年)平安時代』で覚えた794年から鎌倉時代141年と安土時代292年の計433年の中断を挟んで日ノ本の首都だった京都の基礎を作ったその町は、明治になってから復活した。

 大規模な公共工事の一環として、途中から火災によって鴨川の近くにあった皇居は元の場所に移り、官庁も皇居の南の辺りを中心に建てられた。しかし、官庁は時が経っていくと増えたり減ったりを繰り返したので、政府は広大な公園になっていた鴨川御所に新たな官庁街を作った。

 そのため、明治時代の建物がそのまま使われている所もある内裏の前の朝堂町エリアと、遅くても昭和後期に建てられた西鴨川町エリアでも町の雰囲気は違うらしい。


「すみませんでした!」


 今日は、明治時代に新しく設置された鉄道省に用事があるので、終点の四条河原町の1つ前にあり、州営地下鉄南北線に乗り換える事の出来る長刀(なぎなた)烏丸(からすま)駅で降りる。

 伊賀や河内長野と学園の間のいつもの往復より多かった視線は、乗り換えている途中でも、南北線に乗っている時でも変わらなかったが、暗黙の了解として『燈川学園の制服は注目を浴びる』というのがあるので大して気にしない。というより、気にしていたら魔法科には入らない。

 南北線四条烏丸駅から2駅の丸太町烏丸駅で降り、曇り空の外に出る。地面は湿っている。


「やっ」

「……おはようございます」


 御所の時の名残である、御苑の門の1つ・堺町御門の前には、江渡生徒会長が立っていた。

 私達だけだと1年生だけで鉄道庁本庁に行くという事になるので、まあ予想はしていたが案の定いた。というより、いてくれなければ困る。そして、江渡先輩の隣にいた太地さんと姫音(ひめね)さんにも挨拶をして、先輩が通行証を見せて、御苑の中に入る。

 時間は8時半。待ち合わせ時間までまだ1時間あったりする。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 京都御苑、私営(燈川系)京都鴨東公園、そして公営鴨東公園。

 明治時代の短い間に持ち主がころころ変わった約65ヘクタールの土地の中には、御苑の中心であり幕末の内乱の舞台の1つになった京都御所の跡の他にも幾つか施設はある。

 今はその1つであり、鉄道省の真ん前にある富小路(とみこうじ)広場でのんびりとしている。

 私はラノベを読み、姫音さんは推理小説を読み、元陸上部の太地さんは御苑の道を走り、江渡生徒会長はノートパソコンで何かをしている。


「そろそろだな」


 江渡先輩が呟いたのが聞こえたので腕時計を見てみると、丁度午前9時になった所だった。

 直後、壁の向こう側から拡声器で大きくした声が静かな御苑に響き渡り、鳥の(さえず)りが消えた。

 私の隣に座る姫音さんの体が一瞬だけ震えたのを視界におさめながら、待ち合わせ時間より1時間早く来た訳を思い出し、壁の向こう側を睨む。

 何もわかっていない人々の反魔法使い(マジシャン)デモ隊の奴等だ。(しっか)りと国際的に良い魔法使い(ウィザード)悪い魔法使い(ソーサラー)で語義を分けているにも関わらず、嫉妬心からかウィザードも攻める暇人どもだ。


「ぶん殴りたいですね」

「……まあな」


 暇人の全員が悪人ではないが、暇人の悪人を攻めたいのは、なりたくもないのに魔法使いになってしまった人や自分でさえコントロールが難しい魔法を手に入れてしまった人にとっては憎悪の対象であるし、私達でもそいつらは嫌悪の対象である。

 音楽を聞いて、時間を潰し、9時25分には1周してきた太地さんと合流して鉄道省の中に入っていく。

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