表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の日記  作者: コーレア
002-2 勢伊編
115/146

030428 安土から→伊賀へ

 山名さん燈島駅で別れたので、何事もなく登校できた。氏衛門と登校したことは木菟に聞かれたが、燈島駅で会ったと口を揃え乗り切った。

 時おり萩議員の事件に続く安土での発砲事件の事についての会話が聞こえたり、氏衛門がいつも以上に話し寄ってきたり、何時もより電池の減り具合が激しかったりと小さな変化がこの日はあったが、何よりも記憶に残ったのは昼休みのある出来事だ。

 何時もの私、鈴蘭、薫、そして河尻さんに加えて氏衛門と小百合さんで昼御飯を食べ終え、少し経ってからトイレに行き、そこから出た時に右肩を叩かれた。


「いきなりだけど、伊賀にまた来ない?」

「…………何時ですか?」

「今日から明日まで」

「えっ?」

「伊賀のお……祖父母が回復したからそのお礼をって」

「……急ですね」

「サヤがまた忙しくなるからね」

「なるほど」


 誘ってくれるのは嬉しい。けれどもーー。


「着替えなら、服部さんが用意してくれるらしいよ?」

「………………」

「…………ダメ?」

「……上目使いは卑怯です」

「えへへ」


 視界の端で、男子も女子も悶えてるのが見えた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 さて、燈島から上野に向かうルートは鉄道なら官鉄関西本線か大名鉄道伊賀線、少し遠いが阪名急行本線のどれかに最終的には乗っとけばならない。

 関西本線なら伊賀で登下校してた時のように環状線で奈良まで行くか、城北線で木津まで行くか、それともグリーンラインで遠回りしながら行くというのが一般的な手段だろう。大名なら本線、阪名急行もやはり本線に乗れば良いだろう。

 では、ここで質問。


 その全ての路線が止まっていた時、さてどういけば良いだろうか?


『繰り返しお伝えします。本日午後3時頃に発生した爆弾事件の影響に伴い、首都圏の鉄道ダイヤは大和州を中心にして大きく乱れています。

 現在、官鉄関西本線の柏原駅から王寺駅と木津駅から笠置駅、城北線の祝園駅から木津駅、奈良線の棚倉駅から木津駅、山城南近江線(グリーンライン)の寺田西駅から宇治田原駅、和歌山線の橋本駅から隅田駅、大名鉄道本線の河内国分駅から五位堂駅、南線の道明寺駅から上ノ太子駅、奈良線の石切駅から生駒駅、大摂鉄道本線の吉田駅から生駒駅のそれぞれの間で不通となっています。安全確認など復旧までにはかなりの時間がかかる見通しで……』


 久しぶりに、と言っても10日ほどぶりに伊賀に行こうとした矢先にこの事件である。

 犯人の奴等の思惑通りに鉄道網で“陸の孤島”と化した大和州の状況を、燈島駅の改札口前のテレビで見ながら、怒りは頭の隅に置いておいてどうするか頭を動かす。


「目算はあるの?」

「大摂鉄道の南北線を使えばなんとか……って松栄さん?」

「やっほー。廊下で話してたら聞き耳たてる人はいるよ?」

「…………」


 生徒会に入った仙南さんはおらず、“自由奔放”という四字熟語でクラスメイトの認識が一致しているのも気にも止めない松栄さんが、いつの間にか私の隣に立っていた。

 4人のお弁当はどれも美味しいからね~とちょくちょく仙南さんと一緒に来るので、彼女とは時々話しているが、この燈島駅で会うのは鈴蘭が産まれる前の日以来だ。


「仙南さんは今日はバドミントンですか?」

「そっ。気合い入れてたよ~」


 運動が苦手ーーだが体力測定は壊滅的では無かったらしいーーな松栄さんは、部員が少ないので愛好会になっているバドミントンに参加している仙南さんを見学しに行くと誘われる可能性が大きいので、その日は別々に帰るらしい。

 まあ、既にバレている彼女なら大丈夫だろう、と鈴蘭と話し始めた彼女を見ながら考えていると「およっ?」と変な声を彼女があげて、鈴蘭に断りを入れてから携帯を見る。

 すぐに不思議そうな表情から笑顔に変わり、私を見ながら一言。


「もう1人追加ね」

 

 と。

 一瞬わからなかったが、すぐにその意味が理解できた。

 部室で薫さんや河尻さんと女子の話に高じている小百合さんは賛同してくれるだろうか、とその後に考える。

 はたして小百合さんと『もう1人』が揃ってやって来たのは、それから5分もしない時だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ