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学年が上がった
同じクラスになれた
席は隣ではなかったけどうれしかった
休み時間になれば近くに寄って
昼休みには一緒に遊び
下校は同じ方向だから一緒に帰った
楽しかった
あの子と一緒にいるから他にも遊ぶ子が出来た
でも遊んでくれるのはあの子と一緒にいるときだけ
夏休み
僕は嫌いだった
去年は最初の数日だけあの子と遊べた
でもその後は会えなかった
旅行?帰省?とにかく遠くに家族で行っていたらしい
帰ってきても家から出なかったみたい
今年はどうだろう?
またさびしいのかな?
夏休みになった
去年と同じ最初の数日だけ遊んだ
また学校が始まった
同じ日が続く
この頃からあの子の背が高くなってきた
同じくらいだったのに
また学年が上がった
今年も同じクラス
うれしい
でもこの年
僕は本当に男の子と女の子は違うんだと
どっちかにしかなれないんだと知った
そして産まれてすぐに決まるから
僕は頑張っても女の子にはなれないと知った
夏休みに入る前
あの子は最近女の子だけとしか遊んでいない
僕も女の子の格好になったときにしか遊んでもらえなくなった
夏休み
同じだった
学校がまた始まった
あの子が僕に何かをくれた
あの子は言った
あまり男の子と話したくないから、明日からそれ着てきてね
そしたらいつもと同じように話してあげる
くれたものを見た
女の子の制服だった
小さくなって着れないから
捨てるのは勿体無いから僕にくれるそうだ
僕は何も考えなかった
だって着ないとあの子と話せない一緒に遊べない
もう僕にはあの子がいないと輪に入れないと刷り込まれていた
次の日僕は女の子の制服を着て登校した
周りは僕を見て話をしている
あの子がいた
笑ってくれた
うれしい
そのままクラスに入った
皆が笑ってくれた
先生に呼ばれた
誰かに着せられたのか?
ううん
自分で着ました
母が学校に来た
そしてその日はそのまま母と帰った
家で母に聞かれた
なんでそんな格好しているの?と
僕は言った
女の子になれば楽しいしうれしいからと
女の子になればあの子と遊べて笑ってくれる
僕にはそれがなによりうれしい
母が僕に教えてくれた
僕は男の子で、女の子にはなれない
今の僕は女の子の服を着ているだけだと
僕には理解が出来なかった、したくなかった
女の子じゃないとあの子といられない遊べない
僕は何度も女の子になりたいと言った
その後のことはよく分からない
僕は女の子になりたいと言っていただけ
母が父に話し、父が僕と話したが僕は同じことだけを言った
そしたら数日後、女の子の制服で学校に行ってもいいことになっていた
よくわからないけどこれであの子といられると思った
あの子は僕を受け入れてくれた
カワイイと女の子みたいと
いつかの母のように
髪の毛を伸ばした
似合うと言われたから
言葉遣いも直した
直せと言われたから
でも僕と言うのは直さなくてもいいみたい
女の子のことを沢山教えてくれた
まわりも段々と女の子としてみてくれるようになった
僕の部屋もかなり変わった
服は男の子の物は無くなって女の子の服になった
明るい色の物が増えた
可愛いものが増えた
そしてまた学年が上がった