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夢幻泡影のアザレアカフェ  作者: ナナカセナナイ
クーデレ美少女 瑞原詩歌ルート
13/56

三話「アザレアの花言葉」⑤

三万文字突破!!

次は五万文字を目標に頑張ります!


だいたい文庫本は一冊十万文字らしいです……

プロの方はすごいです!

自分も質はともかく、それくらいの量を書き上げられるように頑張ります!

目が覚めた詩歌は、すっかり意気投合した俺達を見て、不思議そうに首を傾げた。

「店長、女の子に相手にされないからって、ついに……」

「「気持ち悪いこというなよ!」」

 見事にハモった俺達を見て、詩歌はくすりと笑った。

 榊が少し驚いた顔をしていた。

「感謝するぜ、片倉……いや、店長。初めて瑞原さんが笑ったのを見たよ」

 実際は、笑ったというより微笑んだだけのものだったが、榊はいたく感激していた。

 ちょっと待て、今なんと?

 店長? 店長って言った?

「……何二人してこそこそ話してるんですか、気持ち悪いですよ」

 詩歌には聞こえていなかったらしい。

 俺は嘆息して。

「早く顔洗ってこいよ、メイクが涎でぐちゃぐちゃだわ」

 実際にはそんなことなくて、本当に可憐で、可愛らしくて。

「~~~~~~!」

 だが詩歌にはそんな冗談は通じなかったらしい。すぐに化粧室に駆け込む彼女をみて、榊が一言。

「やっぱすげえわ、お前」

 呆れるようにそう言った。


 詩歌が起きてる横で、榊と続きを話す気にもなれない。

 榊の連絡先を聞き、何かあったらお互いへの報告を徹底する事を約束する。

「ただ、瑞原さんが朝から寝てるのは珍しいな。休憩中はよく見るが」

 ふと、榊が疑問を口にする。

 まあ、仲間同士隠し事をしても仕方あるまい。

「ああ、一服盛った」

「えええええええ!? 何考えてんだテメエ!?」

「静かにしろよ、詩歌が気づくだろ」

 睡眠薬程度は処方箋さえあれば簡単に手に入る。導入の浅いものを使ったが、疲労が濃かったのだろう。すぐ詩歌は眠りに落ちた。

 その後衣服をはだけさせ、いくつかの打撲痕、火傷の痕を確認した。間違いなく彼女は暴行をうけているのだろう。決定的だった。

 ちなみに、服を脱がしたことはいらぬ誤解を招くため、説明を割愛した。

「真面目そうな顔してとんでもないことするなお前……」

 お前もヤンキーそうな見た目に反して、良い奴だわ。

「褒め言葉として受け取っておくよ、よう詩歌! 目は覚めたか?」

 先程から常に視界に収めていた化粧室入り口に、詩歌が見えた。

 白磁の肌を二月に咲く小梅の花のように赤らめ、ぷんすかと怒っている。あれはあれで可愛い。

「……ふざけてないでオープンはじめますよ」

「はいよ!」

「……了解」

 詩歌の号令で俺達は散り、着替えと手洗いを済ませた。

 遅れてきた睡魔に、肌を切るような冷たい水が心地良かった。

「あ、そうだ榊」

 金髪の背に声をかける。

 なんだ、と榊が振り向く。 

「キッチンのオープン教えてくれよ。まだ仕事おぼつかないんだわ」

「……わかった」

 やっぱこいつ良い奴だ。



 オープンは最も時間がかかるものからはじめる。

 スープとライス。この二つだ。

 厨房の電気をつけ、換気ファンを回す。ガスの元栓を開け、機器のスイッチを入れる。

 何をしようかと戸惑っている俺に榊はそう言った。

「前日に洗米した米が冷蔵庫に入ってるから、倍速炊飯でスイッチを入れろ。ああ、スープの湯は八リットルだ、それじゃあ少ない」

 レタスをカットしながら、榊は俺に指示をとばす。

「終わったらSAの製氷機から氷を入れてこい、たっぷりだ。待て、洗浄機のパネルにエラー表示が出ている。店長、ガスの元栓をもう一度確認だ、奥にあるから気をつけろ」

「了解!」 

 俺は元気に指示を受ける。仕事を与えてくれるのは気持ちがいい。嫌なことを忘れさせてくれるから。

「氷の量が少ない。これじゃあランチ前に冷煎コールドベースが溶けてしまう。食材が傷みやすくなるからたっぷりとだ。それから……」

 なかなかのハードワークだった。

 自分でやるときは一時間前、いや一時間半前に来よう。

 息を切らしながら俺はそう思った。

「アザレアカフェ! オープンします!」

 詩歌の小鳥のような涼やかな声が響き渡った。

 さあ四日目だ。今日も頑張ろう。


◆   

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