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夢か、NOT夢か。
窓の桟枠にちょこんと腰を落ち着けている人形を見て、あたしは生唾を飲み込んだ。
いやいやいや。
いやいやいやいやいや。
何でこんなところに人形が?
不可解な謎だった。
あたしは不審に思いながらもその人形をつついてみる。
ちょんちょん。
擬音で言うなら...何だろう。
まあとにかく触ってみたが変化なし。
当たり前と言えば当たり前だ。
あたしは引っ越し社の人に人形を渡しにいこうとして人形を鷲掴みにした。
と、その時。
「ぬぁーにするのよ!何あたしのこと鷲掴みにしてくれちゃってんの?
喧嘩売る気かああん?貴様やる気か?」
.......ホラー小説でよくあるパターンが現実に発生いたしました。
人形が、しゃ、喋った。動揺なんか、して、ないんだからねっ。
「これは夢夢。そうよ、夢よ。唯夏、落ち着きなさい....」
あたしがほっぺたを少し痛い程度につねっていると、
再び人形から声が漏れだした。
「何こいつ。マジきもいわあー。ひくわあー。
一人で喋るとか、マジ何。うわっ怖っ」
.....お前の方がきもくて怖いわ。
あたしは耐えきれなくなり、その部屋を飛び出した。