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立ち別れ いなばの山の
第16首 立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば いま帰り来む
中納言行平
「行くの?」
彼女が不安そうな顔で聞く。
「ああ。」
僕は頷く。
これから僕は遠くへ進学する。
これからの人生のために、彼女を守れるような男になるためにどうしても行かなくてはならない。
しばらく彼女とは離れなくてはならない。
でももし、お前がどうしても僕に会いたいと言うのなら。
いつだってお前のもとへ帰ってくる。
いつだって一番大事なのはお前だけだから。
僕は彼女を引き寄せた。彼女の唇に自分の唇を重ねる。
「いつだって僕はお前の事を考えてる」