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ダンジョンマスターは人間に戻りたい〜地獄から始まる転落人生〜  作者: REI


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3/5

魂ポイントの使い道

『マスター。900ポイントを使ってダンジョンの強化はいかがですか?』


圭介は深く息をついた。

黒い水晶板に、淡い光の文字が浮かび上がる。


《残ポイント:900》


《ダンジョン拡張:100〜》

《モンスター召喚:1〜》

《モンスター強化:5〜》

《マスター強化:5〜》

《宝物生成:1〜》

《食物生成:1〜》


「どうする?」


目の前に広がるのは、力のメニュー。

指先ひとつで、この洞窟に“命”を呼び込める。

だがそれは同時に、“殺すための力”を生む行為だった。


自分の選択ひとつで、誰かが死ぬ。

いや、人間を殺すために、造るのだ。


「人を、殺してまで人間に戻る意味があるのか?」


呟いた声は岩肌に吸い込まれていく。

ボクシングで殴り合っても、それはルールの中の闘いだった。


だが、ここでの“勝負”は命のやり取り。

負ければ、消えるのは自分だ。


「クソ。考えすぎても仕方ねぇ。もう3人を殺したんだ。」


圭介は拳を握りしめる。

もう後戻りはできない。


『提案:まずは拠点の安定を推奨します』


「つまり、俺が生き延びるために、ここを育てろってことか」


『そうです。“命の搾取”をすることが“あなたの延命”と繋がります』


冷たくも、妙に理にかなった言葉だった。

人間に戻るためには魂ポイントが必要。

だが、生き残るためにも使わなければならない。


「まるで、終わらない仕事を任されて、帰れないブラック企業だな」


《例えとしては的確です。さらに現在、空腹による機能低下を検知。食物生成を推奨》


「……バレてんのかよ」

腹が鳴った。空腹は極限だった。


《食物生成:1ポイント〜》


「……食物召喚」

《パン:1ポイント/おにぎり:1ポイント》


「……じゃあ、パン5個とおにぎり5個」


ピカッ。

光の粒が弾け、目の前の床に、湯気を立てるパンとおにぎりが現れた。


「おっ、ほんとに出た」


温かい香りが鼻をくすぐる。

震える指でパンを掴むと、自然と涙がこぼれた。


『マスター、食べ過ぎでは?』

『摂取制限はありませんが、消化効率は50%以下です』


「人が美味しく食べてるときに。余計なこと言うな」


笑いながらも、胸の奥は痛んだ。

先ほど倒した人間、侵入者の顔が脳裏をよぎる。


「俺は、帰る。絶対に日本に帰ってやる」


一口、また一口と噛み締めるたびに、

生きるための決意が腹の底に染み渡る。

食事を終えると、圭介は水晶板に手を置いた。


「よし。まずダンジョン拡張、だ」


『拡張範囲を指定してください』

「まずは、通路を増やして……部屋と広場を作る」


《承認。必要ポイント:500》


ゴゴゴゴ……。

地響きが鳴り、床が光を帯びて形を変えていく。

一本道だった洞窟に、分かれ道が二つ生まれ、奥へと広がる。

その先に小さな広場、さらに最奥には圭介専用の部屋が形成された。


「……これが、俺の“城”ってわけか」


岩の天井を見上げる。

青白い鉱石がほのかに光り、暗闇の中でも圭介の姿を照らしていた。


「悪くない。ここから始めよう」


《残ポイント:300》


「よし……次はモンスターだ」


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