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「事故」

作者: 中原恵一

 ある日、一人の男が車を運転していると、踏切の真ん中で立ち往生している別の車を見つけた。

 男は一旦道路脇に停車し、その車の運転席の窓ガラスを叩いた。

「大丈夫ですか?」

 すると車を運転していた若者は慌てたように、

「エンジンが急に止まってしまって」

 突然のことでパニックになってしまっているのか、要領を得ない彼に代わり、男は車の外から冷静に指示した。

「こうしたら動きますよ」

 さすが、以前も似たようなトラブルを経験したことがあっただけはあって、男の指示は正確だった。

 しかし、その若者は慌てるばかりで、

「私、すごく困ってるんです。どうしたらいいか分からなくて」

「いや、だからこうしたら動きますって」

「どうしよう、警察呼んだ方がいいかな……」

 男の言葉などまるで聞こえていないというように同じことばかり繰り返す若者。

「さっきからこうやったら動く、って言ってるじゃないですか?」

 男が少しムッとした表情で言うと、

「なんでそんなキツい言い方するんですか? 私だって頑張ってるんですよ」

 若者はひどくイライラしたように男を睨んだ。

 そうしている間に遮断機が下り、電車が接近してきた。

「早くしないと電車が」

「もういい! あなたの助けなんていりません」

「だから、早くしないとあなたの車が——」 

 口論している間に間近まで接近してきた電車がまず若者の車にぶつかり、跳ね飛ばされたその車が男の車にも激突した。

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