治安最悪
キャシー視点です
わたし、キャシーちゃん!とってもかわいくてちょっと小悪魔な女の子!12歳の頃から冒険者をしていて、最近この街に来たニャ!
この街にも慣れてきたけど…人も、魔物も、チョロいヤツばっか。大したことないニャア。
「ねぇ、みんな、わたしもっと強くなりたいニャ!強いみんななら、何か良い方法知らないかニャ…?」
瞳を潤ませ、胸のところで手を組んでみせるだけで男どもはノックアウト。
「キャシーちゃん!お、おれ、良い狩り場知ってるよ」
ほら、引っ掛かった。
「えー!すっごーい!お願い!教えてほしいニャ!」
「へへ、もちろんだよ」
人生って楽勝♪
※ ※ ※
「わ~、本当に人がいないニャ!こんな狩り場を知ってるなんて、スキフくんはすごいニャ!」
「へへ、そうでしょ。キャシーちゃん」
カッコつけやがって、という他の男どもの嫉妬の視線を一身に浴びて心地よさそうだ。でも、気持ちよくさせすぎないのが大事。調子に乗られると困るし、不公平の怒りがこっちに向いても困る。
次の言葉は「まずはみんなのカッコいいところが見たいニャ!」にしようかなと考えながら、辺りを見回す。
ふと、違和感に気付いた。
「でも、人どころか魔物もいないニャ…?」
良い狩り場というのは嘘だったのだろうか。スキフの評価を下方修正する。イイカッコしようとするのは良いけど、わたしを騙すのはいただけない。
まぁでも、まだ切る段階ではないから「大丈夫ニャ。時間はあるし、他の狩り場を探せば良いニャ!」とフォローしてあげようとして…それより先に、パーティーメンバーがわたしを囲んだ。
「…?みんな、どうしたニャ?」
「はは、ここまでして気付かねぇのかよ。マジでお花畑だな」
ハァ?
「お花畑…?それ、わたしに向かって言ったニャ?」
この世で一番かわいいキャシーちゃんに暴言を吐くなんて、この世で一番許せない!
でも、こいつのスキルレベルはわたしより遥かに上。なら、いつも通り、
「なんでそんな酷いこと言うニャ?!わたし、ただみんなと楽しく冒険したいだけなのに…」
俯いて、他の男の同情を誘う。そうすれば、正義感に駆られたヤツが勝手に動いて──
「あぁ、そういうのもう良いから」
両手を掴まれる。は?何も払ってないくせに、何キャシーちゃんに触ってんだ?
「ハハ、ホントに気付いてねぇの?こいつ。バカすぎんだろ」
「マ、そういうとこもキャシーちゃんのかわいいとこだけどな。な、最初俺にヤらせろよ」
「訳知り顔すんじゃねぇ、スキフ。お前イイトコ見せて気持ち良くなっただろ。最後な」
「ちぇ、まぁそういう話だったけどさ」
「何の話ニャ…?」
「テメェを犯す話」
「ハ…?」
犯す?おかす、犯す!?わたしを!??
「は、なに、なんで…ヒッ!」
「ハハハハ!"なんで"だとよ!!"なんで"かって、そりゃお前が思わせ振りなくせに中々ヤらせてくれねぇからだよぉ!!!」
「ぅぁ、」
腕を掴まれたまま真正面で怒鳴られて、一瞬頭が真っ白になる。そうだ、声、悲鳴上げなきゃ。
「キャーッ!!イヤッ!誰か!誰かぁ!!!助けて!!」
「へへっ、言っただろ?ここは誰も来ねぇ穴場だってな!」
「むしろ青姦スポットとしちゃ有名なんだが、テメェがバカで助かったぜ!」
「何人も男咥え込んだビッチかと思ったら、とんだ生娘だったなぁ!」
「「「ギャハハハハハハッッ!!!」」」
「イヤッ!~~~~~~~~~~クソッ!!もう…離せよ!オイ!止めろ!キメェんだよクソが!!俺は男だぞ!!!」
「ギャハハッ!!男ってんなら確認しねぇとなぁ!」
下卑た笑い声とともに、服が破られる。オイふざけんな!この服作るの大変だったんだぞ!
文句は声に出なかった。だって、怖い。男どもが"キャシーちゃん"の控えめな胸をじろじろと舐め回すように見てくる。
「この体つきで男たぁ驚きだな!」
素肌を触られて、吐き気がした。気持ち悪い。触んなクソ。
は、てか、マジでこいつら、俺を、犯すって、
「やだ、やめて、やめて…!」
嫌だ、こんなクソどもに汚されたくない!
「だれか、たすけて…!」
俺の祈りをゲラゲラと嘲笑う男どもの向こうから──
「待て!!」
──かわいい女の子の声が聞こえた。