お家(宿屋)デート
宿屋、二人きり、何も起きないはずもなく…
ありったけのジュースとおやつを持ち寄ったお菓子パーティーが開催された!!
「いや~、菓子パとか久しぶりだなぁ!」
「おっさんとしては前世含めても久しぶりだわ」
「あっ、そうか、大学准教授なんだっけ…」
「さては前世の俺の年が結構いってることに今気付いたな?」
「うん」
「お茶目さんめ、そういうところも──好きだ…」
「よくよく考えたら事案だよね」
「止めろ、前世のことなんて考えるな。ここにいるのはエロいお前とかわいいルルちゃんだ、OK?」
「先に前世のこと言い出したのはルルじゃん…マ、オーケー!」
おっさんが学生を口説いてる現実からは目をそらし、まずは目の前のマカロンに手を付けた。オデ、イチゴノマカロン、スキ。
「そういやサキュバスって普通の飯も食うのな」
「性行為の方が効率が良いんだけどね…人によってはキスでも大分お腹いっぱいになるらしいよ」
そう言いながらアップルパイをワンホール丸々食うゾミ。すごいな、まるで吸い込まれてるようだ…
「じゃあ俺とキスすれば良いのでは?」
「なに"名案!"みたいな顔してんのさ。サキュバスもインキュバスも突然変異でもない限り、異性じゃないと意味ないよ」
「さっき"らしい"って言ってたよな」
「…」
「キスしたことあんの?」
「今世では…ない、けど…」
「なら、試してみようぜ」
テーブルをぐるっと回って、ゾミの方へ行く。ゾミのむちむちな太ももの上にまたがって、顔を近付けようとするが…うん、キスするときって巨乳は邪魔になるんだな。初めての学びだ。
どうしたもんかとモダモダしてると太ももから下ろされた。あぁっ!せめてもうちょっと感触を…!
「ん」
ちゅ、と軽いバードキスをされた。…え、マジ?
「…今の絵面だと、事案はお前の方だよな」
「…言わないでよ、ちょっと自覚があるんだからさ」
「腹いっぱいになった?」
「なった…」
「じゃあ突然変異なんじゃねぇか」
「うん…」
しおっしおの顔してて草。とりあえず、ここにある菓子は全部俺が食っとくね。あ、これしっとり系のガトーショコラだ。うま。
「じゃ、俺はパーティーメンバー兼主食ってことで」
「良いの…?」
「たりめぇだろ、金も払わずに美人とキスできるとか役得すぎる」
「出会って二日目なのに相変わらずだねって言いそうになったよ。ほんと、ぶれないね」
※ ※ ※
「美味かった、全て…」
デーブルいっぱいにあったお菓子たちが無惨に食い散らかされていた。かわいそうに、一体誰がこんなことを…!あと腹いっぱいって言ってた割にはあの後ゾミも結構食ってたな。
「いやぁ、ここまで食べたら太りそうだね」
「大丈夫だろ、『菓子パのときのお菓子はゼロカロリー』って姪が言ってた」
「なんて素敵なお嬢さんなんだ…」
「俺たちも見習おう」
今まで得た理科と家庭科の知識を空にして、菓子パは幕を閉じた。