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オタクくん


朝、フレッサの悲鳴が我らがチェスティ家に響く。


「みんな、大変だ!冷蔵庫に食料が一つもない!」


誰が犯人なんやろなぁ…


「酒蔵にも酒一滴すらのうなっとる!酷い、一体誰がこんなことを…!」


誰なんやろなぁ…


「茶番は置いといて、流石に買い出し行かないと不味くない?今日は外食で済ますとしてもさ」


「すみませんが、おれは指名依頼があるので買い出しには行けません」


「謝ることないよ。僕も前受けた依頼の完了報告しないといけないし」


「わたしはマッサージ店の予約があるニャ」


「わいは飲み仲間と飲み行く約束があるからなぁ」


「アタシは反省の意も込めて森で食材になりそうなもん獲ってくるよ」


ん?じゃあ残ったのは…


「ナーギ!ルルと一緒に買い出し行ってくれないか?」


「あっ、え!?何で、」


「うちって大所帯だから、ルル一人だと買って帰ってくるのも大変でしょ?手伝ってやりな」


「あ、調味料類も買ってきてくれると助かります」


「お菓子の補充もよろしくニャ」


「茶葉も少なくなってきたのでそれも」


「酒も買うてな~」


「ね!お願いナーギ!」


「うあ…うん」


フレッサのキラキラお目目に見つめられて断れるナーギはいない。




※ ※ ※




「…」


「…」


流石の俺も無言が気まずい。


「あー、頼まれたもんはこれで全部買えたよね?」


「あっ、はい。買えました」


「うん、じゃあ後は帰るだけだ」


「あ、はい」


「…」


「…」


会話が続かねぇ~~~~~~~~~~~。


前回フレッサと大食い大会デートしたから、その件でぶっ殺されるんじゃないかと実はヒヤヒヤしてたんだが、それ以前の問題だった。


「どう?家にフレッサ以外の人がいんの慣れた?」


「あっ、その、慣れました」


「慣れてないねぇ」


「…あっ、ッスー…すみません」


「いやいや、怒ってるわけじゃない」


少しは仲良くなったと思ったんだが、まだまだかぁ…


いやてか、頬にとはいえキスはしてくれるんだから、存在に慣れないわけじゃないんだろうな。シンプルにコミュ障なだけか。


うーむ、単にコミュニケーションの経験値が少ないのか?それならこっちからガンガン話し掛けるから問題ないんだが。


とりあえずフレッサの話でもするか。


「なぁ、…、…?」


隣にいたはずのナーギがいなくなってた。エ迷子!?


…じゃなかった。全然いたわ。何かの店のガラスに張り付いてる。


「何見てんの」


「わっ!」


気配消したつもりはないんだが、驚かせてしまった。最近チェスティとの訓練でかくれんぼ(難易度MAX)やってるせいか?


わたわたしてるナーギの隣に立って店内を覗くと、そこには藁人形やら壺やらがびっしり敷き詰まってた。わーお、ホラー。


呪具店か。そういやナーギ【呪術師】だもんな。


「中入る?」


「あっ…はい…あ、いや、やっぱいいです…」


「そう?」


でもそう良いながら視線は店内に釘付けなんだよな…


「お、懐かしいなあれ。こっくりさんじゃん。学校で友達とやったわ」


「そうなんですか!?」


おおう。


「前世で興味はあったんですけどビビりだから実際にやったことはなくて、でも自分なりに調べたらとかはいっぱいしてて学校の怪談とかをまとめたノートは考察も含めたら4冊にもなったし、マァ人に話し掛けられなかったからほとんどぼくの妄想なんだけど…あ、ぼくはオカルトオタクでね、中でも呪術系が好きで前世でも呪具を集めてたんだ。マァネットで調べて見よう見まねでぼくが手作りしただけだから曰く付きとかじゃ全然ないけど…うん、それにしてもこうして呪いの道具が並べられてるのを見ると壮観だね、すごく良い。もちろん呪具を媒介にすると効果が増すってのもあるけど、ぼくとしてはそれよりもこうした道具のストーリー性と言うか背景に惹かれてて、呪いってのはやっぱ人の思いの結晶なわけだからそういう感情がはっきりと分かりやすいのに複雑で分かりにくい呪いって概念がぼくは好きで、この世界で呪いはあくまで攻撃の手段だからそうした込められた思いとかは薄いんだけど、それでも負の感情を乗せるっていうシンプルな構造に絞られて分かりやすさが強くなっててそれはそれで好きかなって…」


めっちゃ語るやん。


「うぁっ!ぁ…!すみません…!」


「謝ることねぇよ。俺もジャンルは違えどオタクだし。分かる分かる」


好きな物を語るときって文法もテンポもめちゃくちゃになるよな。


「でも、キモい…ですよね、こんなの」


「?何で?」


「いやだって呪いとか好きなのまだ中二病かって感じだしイタいし──」


「お前今【呪術師】なのに?」


ナーギがハッとした表情になる。なるほどなぁ、感覚が前世のままなのか。


「ファンタジーもオカルトも、今は俺らの現実だぞ。だから大丈夫だ」


「や…でも、」


「大体なぁ!フレッサは言わずもがなだけど、チェスティとキャシーは二次オタだし、ゾミも人の趣味笑うやつじゃねぇし、リンは酒以外に興味ねぇから『へぇ』で終わるぞ!」


「…あ、確かに」


「パーティーメンバーくらいは信じてみ」


「あっ、その…うん」


「良し、じゃ、店入るぞ」


「えっ!?」


「店先で騒いじゃったし、詫びとして何か買っといた方が良いだろ」


「あ、確かに…!」


「前世でできなかったやつ、一緒に全部やろうぜ」


「…!うん!」


コミュニケーションの成立…!謎に感慨深い。会話が遮断されなくなったし、良かった良かった。

ルル(前世)はこっくりさんをやったとき好奇心に負けて手を離し、一緒にやってた友達にブチギレられた(会話のテンポが悪くなるので入れられなかった話)

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