ルルなりの誠意
リビングに戻るとチェスティが紅茶を入れてくれた。これ俺の好きな味じゃん。良妻?
「これ、僕の好きな種類なんですよ」
「俺もだ。運命だな」
「はいはい」
チェスティも俺の言動に慣れてきてるな。良いことだ。
「気は済みました?」
「おう、あいつらのこと知れて良かったわ」
「…僕の部屋に突撃しようとはしないんですね」
「え、して良いの?」
「良くないです」
「じゃあしねぇよ」
「意外です」
「デリカシーゼロ野郎だと思われてた??」
「はい」
「素直…いやまぁ、踏み込んでほしくなさそうにしてたら流石に自重するわ。前世も含めりゃ半世紀以上生きてんだぞ。大人の気遣いってヤツ」
「…そんなにしてました?おれ、これでもルルさんのことめちゃくちゃ気に入ってますよ?関わってほしくないなんてそんな、」
「"関わってほしくない"じゃなくて"踏み込んでほしくない"な。そりゃ気に入ってはいるだろうよ、見ず知らずのやつに職人の師匠付けさせて、自ら仲間になって、パーティーメンバーに家まで与えてくれる。聖人か?お前は」
「違います、おれはそんなんじゃ、」
「そうだな、お前のこれは過保護って言うんだ」
同じジョブの師の下で力を伸ばさせる、自分の身は自分で守れるようにする、それはそれとして仲間になって守る、目の届くように同居させる。
「俺にとっちゃメリットしかないから文句なんてさらさらないが、俺の告白ものらりくらり躱されんのは寂しいなぁ」
「…」
「何か言いたいことあるなら聞くぞ、チェスティ」
「…ルルさんって」
「おう」
「意外に賢いですよね」
??????
「今めちゃくちゃバカにされた?」
「いえそうではなく!!意外に頭の回転が良いというか!意外に色々考えてるというか!意外に空気が読めるというか!」
「全部"意外に"が付いてるせいで罵倒なんだわ」
「す、すみません…」
ゾミといい元准教授をナメすぎじゃねぇかこいつら。
「まぁ、分かったなら良し!じゃ、俺ケーキ買いに行くから。お茶ありがとな~」
「え、良いんですか…?」
「何が」
「その、何も言わなくて」
「良いよ。俺を騙そうとしたり何か奪おうとすんなら殺すけど、そういうわけじゃないなら好きにすりゃ良い。気になるけど気にしない」
「えぇ…割り切り良すぎません…?」
お、チェスティのドン引き顔だ。これこれ!って感じ。やっぱりチェスティには慣れられるよりこっちの方が良いまである。
「だから言いたくなったら言ってくれ!じゃ!俺はケーキ売り切れるまでに買いに行かなきゃなんねぇから!」
「会話終えたい理由それですか???」
呆れた顔をしてはいるが、話し始めたときよりスッキリしたような表情を見せるチェスティに、俺は満足な気分になった。




