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初めまして、それじゃまた

「おれはチェスティ。前世はゲーム好きのただの男子高校生です。道路に飛び出した子供を庇ってトラ転しました」


「素晴らしきテンプレだな」


まさか両親以外で初めて会うのが同じ転生者とはな…。しかもTSまで一致してやがる。


「俺はルル。前世は大学で准教授やってたおっさん。哲学専攻。死因は多分24時間耐久セックスやった次の日、寝不足で階段から足を踏み外して落っこちたから」


「バカなんですか?」


「俺もそう思う」


流石に講義ある前日にヤるのはバカすぎたとは思った。相手は無事なことを祈るばかりだ。


「にしても、中身年下かぁ…」


俺、年上のお姉様が性癖だからなぁ…


「あ、いや、死んだときが高校生ってだけで、転生後は354歳です」


「これ以上俺の性癖をねじ曲げてどうする気だ?」


「聞いた限り元々メキョメキョなのでは?」


「言うね」


踏み出した足がパキッと枝を折る。俺のさしずめこの枝…いや、もっとベキョベキョか。粉砕じゃ足りないかもしれない。


現在、俺たちは雑談をしながら近くの街を目指し中だ。何せ森の奥の奥に住んでたもんでな。チェスティが魔法でバフ掛けてくれてるから、もうそろそろ着くだろうけど。


「そういや、俺の両親って暗殺されるようなやつだったん?」


「さぁ…?依頼を受ける側が詮索をするのはご法度なので」


「暗殺者ギルド?闇ギルド?的なのがあったり?」


「いえ、普通に冒険者ギルドで指名依頼されます」


法ガバガバで草。


「この世界、人殺しを禁ずる法がある国少ないんですよね…。あ、着きましたよ」


お~、防壁高ぇ~。思ったよりしっかりした街だった。てか、チェスティ門番顔パスマ???


「これでも高ランク冒険者なので」


「へー、ジョブのレベルいくつ?」


この世界では生まれたときからジョブが決まってて、それは神から与えられた物とされてるらしい。職業召命観かな??


「【弓使い】と【風魔法使い】がそれぞれLv.10です。ルルさんは?」


「【鍛冶師】と【ハンマー使い】」


「ドワーフの鑑ですね…」


テンプレに恐ろしいほど反してなくて、俺もビビったよ。


「ルルさんは冒険者ギルドに行きたいんでしたっけ。鍛冶師ギルドにも入ります?」


「入る~。ちなみに冒険者の方でチェスティとパーティー組めたりしない?」


「流石にレベルが違いすぎるので…」


「言うね」




※ ※ ※




冒険者ギルドの登録はテンプレとかもなしにつつがなく終わった。ちょっと絡まれたりしないかなってワクワクしてたとこもあったんだが。


「多分、おれが隣にいたからだと思います」


「何かやったん?」


「いえ、そうではなく、この世界倫理が薄いので、実力が上の者に下手に絡むと殺されるんですよ」


「俺たちの初対面が暗殺だったくらいだしな」


「何かすみません」


「いや別に気にしてないし良いよ」


「それはそれで…。おかしいな、おれがこの世界の倫理観に馴染んだの、生まれてから100年後だったんだけど…」


またチェスティがドン引きしている。全く、一体誰のせいだ?俺か。


「そうだ、鍛冶師ギルドの説明を先にしておきますね。さっき冒険者ギルドの受付さんが質問責めにされててかわいそうだったので」


「お、助かる」


「反省してます?…鍛冶師ギルドへの登録は、親方を通して行われます。徒弟制度的なのがあるのは向こうと同じです。こっちでは徒弟でもギルドに入れるんですけどね。親方・職人・徒弟って…あ、高校のとき、世界史選択でした?」


「選択はしてたけどもうおっさんだから覚えてねぇや」


「その姿でおっさん自称されるの違和感あるっすね…。あー、話戻しますけど、今から行くのはその親方のところです。知り合いに二人いて──」


「それがオレらってワケだ!!」


「うわっ!?」


誰!??


「こら、そんないきなり話掛けないの、アドリア」


誰?その2!!!てか、え?分身!?!?


「噂をすればというか何と言うか…」


「オイオイ、オマエが呼んだんだろ?」


「《伝達》で前もって知らせるくらいには大事な相手なんでしょ?私たち、気になっちゃって」


「気になるのは良いですが、ちゃんと手順を踏んでください。ルルさんが困惑してます」


「ルルって言うのね。初めまして、アデリネよ。この子は妹の──」


「アドリアだ。よろしく」


「よろしくお願いします…?え、双子…っすか?」


「そうよ~」


oh…まさかの美人双子姉妹。顔も声も体格も服装も全部同じで、違うのは表情と口調くらいだから脳がバグる。


「二人とも【鍛冶師】Lv.10なんですよ。確か、今まで受け持っていた弟子は独り立ちしたらしいですし、ルルさんの受け入れは問題ないですよね?」


「えぇ、まぁ、弟子にするのはもちろん大丈夫よ。でも…【鍛冶師】を見付けたから育ててほしいとは言われてたけれど、まさかこんなかわいい子だったなんて…。ルルちゃんは何歳なの?」


「流石に10歳以下の子供に仕事させるわけにゃねぇんだが」


「あ、いや、」


「いや俺、18歳っすけど…」


「「えっ!?」」


ビックリだよな。両親とか18の娘相手に「僕たちの天使♡」とかやってたし。まぁ、ドワーフの寿命からしたら18歳なんてまだ赤ちゃんみたいなもんだからか。


ともあれ、こっちの世界でも余裕で成人。合法ロリってやつだ。


てか、反応的にチェスティは知ってた感じ?


「任務のときに情報収集したんで」


美人姉妹に聞かれないよう小声で聞いたら、同じく小声で返してくれた。なるほど。


「てことは、エルフじゃなくてドワーフか」


「ごめんなさい、チェスティが連れていたからてっきりエルフだと…」


「いやいや、別に気にしてねぇっす」


無事鍛冶師にはなれそうなとこで、少し疑問に思ったことがある。


「この美人姉妹もTSだったりしねぇよな…?」


「さぁ…聞いたことないんで分からないです」


「すんません、師匠たちもTSですか?」


「あんたマジか」


チェスティがドン引きした目で見てくるが、まぁ待て、勝算はあるんだ。TSの意味が分かるなら転生者だし、分からないなら適当に誤魔化せば良い。


「ア?まさかオマエらもか?」


何だここ、TSが集束する世界か??


「あなたたちは、前世で知り合いだったとか?」


「いや、めちゃくちゃ他人です」


「さっき会った」


「あら、そうなの?私たちは元兄弟なの」


「仕草とか言い回しとかが妙に兄貴っぽいと思ってカマ掛けたら引っ掛かってな」


「普通に聞いてちょうだいよ」


「普通に聞いたらヤベーやつだろうが」


「にしても元男多くないですか?」


「天文学的確率を当てたか、神がTS好きかの二択だな」


「後者な気がする」


その後、少しTS転生談義でわいわいと盛り上がった。鍛冶については住み込みで働くことになりそうだし、良かった良かった。流石に両親の死体がある家に住み続けたくはないからな。


そして、別れのとき、チェスティが言った。


「【鍛冶師】はLv.5からが職人です。…職人になったら、迎えに来ますよ」


迎えに来る発言は事情があって引っ越しちゃうけどそれに悲しむ少年を泣き止ますために約束してくれるお姉さんっぽくてグッド。その調子でよろしく頼む。


「その言葉は交際OKの返事と見て良いんだな?」


「さっきも言いましたけど、おれ男子高校生だったんですってば」


「俺はTSも全然守備範囲内だが??」


「えぇ…」


「冗談じゃねぇけど冗談だ。またな」


「…はい、また」

(タイトルを先に思い付いたが、それに合わせるために話がクソ長くなってしまった図)

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