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花見がしたい

「ミライくん、ちょっといいかな?」

研究室で仕事をしていると、突然リスタ殿下から声がかかることが増えた。

同僚は何の用かといぶかしんでいる。

ルイジだけは、心配してくれているようだったが。


たびたびリスタ殿下から呼び出しがかかるので、上司のユリウスは俺に直接聞いてきた。

能力の事は言いたくないんだけれど。

かといって下手に誤魔化しも出来ない。

仕方ないので、リスタ殿下の所に一緒に行ってもらう事にした。

直接見てもらった方が早いからだ。


「失礼します。今日は何の御用でしょうか?」

リスタ殿下の部屋に俺と、ユリウスが入る。


「ユリウスがどうして一緒にいる?」

「俺が、秘密を隠しておけないから一緒に来ました」

「隠さないで良いのか?」

「俺、嘘つけないんですよね」


俺は目を閉じて集中した。

真っ赤なバラの花をイメージする。

すると、手の中にバラの花が出現した。


「え?何どういう事?魔法収納アイテムボックス?」

魔法収納アイテムボックスじゃありません。俺はイメージ出来る物が再現できる能力があるんです。それで度々リスタ殿下に呼ばれるようになりまして・・」


リスタ殿下は耳打ちする。

「これ、天罰くだらないよな?」

「俺がバラしたのだから、大丈夫ですよ」

ホッとするリスタ殿下。


「天罰って何だ?」

「えっと、俺の能力を他の人に言うとですね、ラシーネ様から天罰が下ります」


「「えええっ」」

ユリウスは大げさなくらいに焦りまくる。

「い、意味がわからないんだが?」

「説明不足でした。この能力は俺が女神さまから頂いたものでして、お言葉を下さってバラすと天罰を下すと仰ってました」


「ば、ばらすわけないだろう・・・」

よっぽど怖いらしい。

ユリウスは顔が青ざめる。

素直に信じたようだ。

この国は神様の信仰が厚いらしい。

日本とは大違いだな。


****


家の前に植えたマリー花の木が、しっかりと根付いてきた。

枝から小さな若い葉が出てきている。

ちょっと早い気がするが、魔力のある木だから根付くのが早いのだろうか。

花は咲くのに時間がかかるかもしれない。


「葉っぱ出てきたね」

アンが手でちょん、と触った。

キレイな新芽が生えていた。


「そうだね」

「どんな花が咲くんだろう。楽しみ」

興味深そうにアンは眺めていた。


「きっと、キレイな花が咲いてくれると思うよ」


あと半年とか、1年か2年かかるかもしれない。

「気長に待つことにするか」


俺は満開のマリー花を想像する。

桜の様に、咲いたら花見するのもいいかもな。

日本じゃないけど、異世界でお花見も良いもんだ。

夜空で、シートを広げてアンとお花見したりして。

思い描くだけで、とっても幸せな気分になった。

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