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借家探し

王都ファンガムに来て、一か月が経った。


「今日はお給料日だって言ってたな」

職場の人たちはそわそわしていた。

嬉しいのだろう。

心なしか皆、うきうきしているようだ。


同じところで続けて働いたのは、初めてかもしれない。

前の世界でバイトもしたことがなかった。

高校生になる前だったから・・かと言って、高校生になって、バイトするかと言えばどうだろう、していないかもしれない。

この世界に来てから今更ながら、初めての事が多いな。


「お疲れさまでした」

一人ひとりに、革袋に入ったお金が配られた。

渡されたお金は金貨20枚だった。

結構大金じゃないだろうか。


****


休日俺は、アンと小ぎれいな不動産屋に来ていた。

紙に物件が書かれており説明をうける。

借家は王都では一般的なようだ。


お金が沢山あれば、家ごと買う人もいるらしい。

前の世界とあまり変わらないのかもしれないな。

月金貨1枚からでも、借りれるところがあるみたいだ。

安いのか高いのかよく分からないけど。


「こちらになります」

不動産屋の若い男性に連れられて、物件を下見にきていた。

王都でも隅にある場所だ。


中心地からかなり離れていて、利便性が悪そうだった。

城からずいぶん離れているので、移動に時間がかかるかもしれない。

「出来れば近いほうが良いな・・」

でも、毎日宿代を払う事を考えればずいぶん安い気がする。

木造の家は年季が入っていた。


2件目。

森の中に家はあった。

王都の外だけど、静かで過ごしやすそうだった。

別荘感覚で作った家なのかな?


後で聞いたら、魔法使いの人がこもって仕事用に使っていたらしい。

要らなくなって売り払ったようだった。

暖炉が備え付けられている。

金貨3枚。

家がしっかりしていて、まだ新しそうだった。


「まだございますよ。中心地に近い物件はもう少し値が張りますが」

不動産屋の若い男性は、まだまだ紹介し足りないような表情をしていたが、疲れたから帰ってきた。


「疲れたね」

「うん」


男性はすぐに契約をさせたいのか、押しが強かった。

「お仕事なんだろうけど・・」

俺は何だか気疲れしてしまった。

隣のアンも疲れてるみたいだ。


「今度は他の不動産屋行こうか?」


近くのカフェに入り、アンと向かい合わせに座った。

お茶とお菓子を食べる。

「たまにはいいでしょ?」

紅茶と、小麦粉を使ったパンケーキ。

赤いイチゴのような果実が乗っている。


「甘い~」

アンは笑顔になった。

疲れた時は甘いものに限る。

アンは何時でもいいみたいだけど。

「本当だ、すごく甘いな。こんなに甘いの、こっちきて初めてかも」


実は少し値段が高くて、たまにしか来れなさそうだ。

給料入ったばかりだし、いいよね。


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