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アンの初仕事

初出勤の日。

私は緊張していた。

そういえば、外で働くのは初めてだったりする。

今までは、家の仕事の延長だったから。

「マーヤの食堂」

私は、お店の看板を眺めて中に入る。


「よろしくお願いします」

私は頭を下げる。


「食堂で働くのが初めてなんだって?最初は急がないで、丁寧でいいからね」

恰幅かっぷくの良い茶髪の女店主、マーヤさんが話しかけてきた。


「まずは挨拶からかな?いらっしゃいませって言ってみて」


「い、いらっしゃいませ」

「もう少し大きい声で」


「「いらっしゃいませ~」」

「語尾を伸ばさないように」

「あ、はい」


練習はしばらく続いた。


****


スタッフは私を含めて4人。

先輩たちは、テキパキと仕事をこなしている。

すごいなぁ。


ひっきりなしにお客様が入ってくる。

繁盛しているお店のようだ。

「君、新人さんだね?」

「あ、はい」


急にお客様に声をかけられ驚いた。

「アン、これ持って行って」

「あ、はい」

話す暇も無く、動き回る。


****


お客様が減りだし、昼食の時間は終わりのようだ。

「お疲れ様、またよろしく頼むね」

マーヤさんにねぎらわれ、私は店を出た。


「あ、足が痛い・・」

立ちっぱなしで足がむくんでいた。

働くって大変なんだ・・。

改めて思う。


見ているとらくそうだけど、そうでもない。

短い時間だったけど忙しくて、目が回りそうだった。

「早く帰ろう」

短い時間で助かった・・・。

これからは食堂の人に感謝しないとね。


****


「アン大丈夫?」

宿屋のベッドに突っ伏していたら、ミライに心配された。

「・・だいじょうぶ・・」

少し疲れただけ・・だから。

「慣れない仕事して疲れたんだね。何かしてあげられるといいんだけど・・」


「あ、そうだ」

ミライは何か思いついたみたいで、手のひらに茶色い瓶を出した。

「栄養ドリンクっていうんだ。気休め程度だけどね」

「?」


私は瓶をうけとり、蓋をあけて飲んでみた。

甘いような不思議な味がした。

「元気になる飲み物だよ。ポーションほどじゃないけどね」

ミライの気持ちを受け取って、少し元気になった気がした。


「ポーション出せるようになるといいな・・そうすると実物を見ないと難しいよな・・」

ミライは何か考えているみたい。


「ポーションは高くて買える物じゃないよ」

ギルドで見たポーションは、金貨5枚ほどするものだ。

平民が到底買える金額じゃない。


ミライは時々、何か考え事をしている。

仕事の事だろうか?

将来の事?

そういえば、家を借りたいって言ってたっけ。

私は今が幸せだったら、十分なんだけどなと思った。





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