研究室訪問
王宮の一室で。
ミライが働き始めて一週間が経った。
「エリル、新人の様子はどうだ?」
リスタ殿下が訊いてきた。
私は殿下の横に立っている。
「最初は新人の容姿に驚いていた様子でしたが、徐々に打ち解けてきたようです」
「・・・・?」
「ん?何だ、皆怖がっていたのか?全然怖くなかろう。意外と雰囲気も柔らかいし」
「そんな事を仰るのは殿下だけですよ。他人は見た目でほぼ判断しますからね」
人間は見た目で判断してしまうものだ。
親しくなってから、初めて良い人だと気づいたりする。
例えば女ならば弱いという風に。
わたくしは人一倍努力してきた。
男性の多い職場で、ようやく王子の護衛という仕事を任されたのだ。
「研究所の人はそうでなくても、社交的ではないのですから」
「・・・仕方ないな」
殿下は見た目で判断しない。
高い地位にいると普通奢ったりするものだが、そんな事は一切なかった。
****
ギィー
研究室の扉が開いた。
「失礼する」
男性の声がした。
誰か来たのだろうか?
研究所は訪問する人はほぼいない、と聞いているのだけど。
俺は資料を読んで椅子に座っていた。
少しは知識がないと仕事にならないので、読んでおけと渡されたのだ。
「面白いな・・」
俺は夢中になって資料を読んでいた。
植物に魔力が作用するとか・・どういう仕組みになっているんだ。
ピーンと張り詰めた空気。
「ん?」
いったいどうしたんだろう。
言葉を交わしながら、仕事をしていた人たちが急に静かになった。
俺はこの時初めて、来客の姿を確認する。
「あれ、あの人面接で会った」
金髪で青い瞳の若い青年。
紺色の詰襟に金色の刺繍が施されていて、上品な雰囲気を醸し出している。
「リスタ殿下」
白衣の職員が口にして、頭を下げる。
え?殿下ってこの人、王子様なのか?
「仕事の邪魔をするつもりは無い。気にしないでくれ、見学しに来ただけだから」
気にしないでって無理に決まっている。
みんな緊張して固まってしまっている。
「頑張っているかい?」
不意にリスタ殿下に声をかけられた。
俺は顔が少し引きつった。
変な顔していないだろうか。
「は、はい。ありがとうございます」
「期待してるからね」
バタン
リスタ殿下は去っていった。
「~~ん。緊張した~~」
隣の職員が呟く。
ホッとした和やかな空気に戻っていた。
「気にするなって無理だよな」
「ほんとそれ」
若い男性だらけの職場で、口々に言葉が交わされる。
「あの人、殿下だったんだな・・」
一気に疲れた。
まだ午前中だというのに帰りたくなった。
「お疲れ様ミライ君、期待されてるってきみ、何かしたの?」
上司のユリウスが話しかけてきた。
「特に何もしてませんよ・・」
「ふうん」
ユリウスは顎に右手を添え、茶色い目を細めた。
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