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新しい職場

「信じられない・・・」

今まで誰も受からなかった採用試験に一発で合格。

ふらふらと少し、夢見心地な感覚。


「おっと・・」

危ない危ない、気を抜いてると何があるか分からないからな。

深呼吸をして、少し落ち着いてから街道を歩きだす。

「先ずはアンに報告して、それから・・・」

お金が貯まったら、どこか手ごろな家を借りられるかもしれない。

花屋さんだって夢ではなくなるかも。


****


「よかったね!」

宿屋に行ってすぐアンに伝えると、少し目を見開いて、とても喜んでくれた。

「何をするのか、まだ全然聞いてないけどね。ちょっとギルドに行ってくるよ」

俺はアンに一声かけて出かけた。


****


冒険者ギルドで、王宮で働くことになったと伝える。

「まさか、採用されるとは思ってもいませんでした・・」

ギルド職員のシャーリンさんが言う。

失礼だなとは思ったけど。

今まで誰も採用されなかったから、そう思っていたのだろうか。


「もしかして、顔で判断されたのか?」

最近怖がられないから、すっかり忘れていたけれど。

「顔じゃありませんよ。ミライさんは随分ずいぶん穏やかな表情になりましたしね。今まで、採用された方がいなかったので、思っていなかっただけです」

「失礼いたしました」

とシャーリンさんから謝られた。

そんなに気にはしていないけれど。


****


翌朝、王宮に行くと服を支給された。

「先ずこの服を着て、それから職場に案内しよう」

手に取ったのは真っ白いジャケット。

白衣のようだった。


「初めまして、わたしは君の上司ユリウスだ」

銀色の髪が金縁の眼鏡と良く似合っている。

ユリウスに職場まで、道案内してもらうことになった。


王宮は思ったよりも広くて、迷いそうだ。

「ここは薬草などを研究するところだ。最初は容器を洗ったりする作業かな」

冒険者ギルドで使われていたポーションは高価で、いかに安く作れないか研究しているらしい。

「安く出来れば、簡単に手にする事ができて亡くなる人も少なくなるからね。それと、ここでの仕事内容は秘密厳守で。家族にも言わないでほしい」

国家機密事項らしい。


雇用契約書にサインした。

朝から夕方まで働いて、一か月金貨20枚、週2日は休み。

かなりの好待遇だった。

国で研究しているだけあって、金銭的に優遇されているみたいだ。


****


「ただいま。疲れたよ」

俺はベッドに寄りかかった。

「おかえりなさい」

アンのいる宿屋へ戻ってきた。

ホッとする。


聞いたところによると宿舎というのもあるらしい。

主に独身者用らしいけど。


「そのうち家借りようか?」

「大丈夫なの?」

「宿代もバカにならないし・・。借りたほうが安くなるかも」

「そっか。そうだね」


宿屋も悪くないけど、少し狭すぎる。

食事も作れないし、少しお金がかかりすぎだ。

近いうちに不動屋さんに行って、家を見に行きたいな。



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