海
見渡す限り海原が広がる。
俺はアンと旅行に来ていた。
ザザザ――ン・・ザザザ――ン・・
寄せては返す波の音。
砂浜にアンと二人きり。
「海って初めて見る~」
この世界での旅って贅沢な気がする。
みんな生きていくのに必死で働いているのに、遊んでいる気がして。
「な~に難しい顔してんの」
俺はアンにデコピンされた。
俺が盗賊に襲われたと聞いたとき、アンが倒れてしまい心配させてしまった。
今回の旅はアンにお詫びするためだ。
たまにはこういうのもいいよね。
お金は・・この間沢山稼いだので、気にしなくて良い。
馬車で一週間の移動。
遠くに来ちゃったな。
「この海の向こうにも人が住んでいるんだよね?」
「そうだね」
俺の隣にアンが寄り添っている。
穏やかな時間がずっと続くといいな。
「くしゅん!」
「あれ、風邪ひいちゃいそうだね」
少し寒かったみたいだ。
可愛い彼女に風邪をひかせるわけにはいかない。
「少し早いけど、宿屋に行こうか?」
****
海辺の宿屋は普通の宿屋だった。
観光とかあまりないのだろうか。
そもそも観光っていう概念が、無いのかもしれない。
お土産とかそういった類のものは見当たらなかった。
「おお!刺身だ!」
異世界転移してから初めての生魚!
さすがに醤油は無いみたいだけど。
塩があった。
海水から作っているのかもしれない。
塩買って帰ろうかな。
「美味しい~」
以前の世界では普通に食べられていたのに、めったに食べられない。
スーパー、コンビニ、自動販売機・・便利だったんだな。
今を必死で生きるって、前にいた世界より生きている感じがする。
「ミライ・・よく食べれるね・・」
アンが刺身を見て固まっていた。
初めて見るものだったらしく、怖いのかもしれない。
「もったいないけど、ま、いっか」
俺はアンの目の前にある刺身に、火の魔法を使う。
程よく焦げて、焼き魚になった。
「え?いつの間に魔法使えるようになったの??」
「最近少し・・ね。これで食べられるでしょ?」
「うん。ありがと」
宿屋の人に見られてたけどま、いっか。
文句を言ってくることも無いだろう。
俺とアンは同じ部屋を借りた。
ベッドは二つあって、それぞれで寝れるようになっている。
長旅で疲れたのか、俺はすぐに寝てしまっていた。
****
「あれ?寝ちゃった」
同じ部屋っていうから覚悟してきたのに・・。
私って魅力ないのかな・・・。
「ふぅ」
がっかりしたような、安心したような。
「ミライらしいといえばらしいか」
私は毛布を握りしめて、眠りについた。
面白かった
続きが気になる!
と思ったら
下の☆☆☆☆☆から作品の応援お願いいたします。
面白かったら☆5つ、つまらなかったら☆1つ正直な感想で構いません。
ブックマークもいただけると嬉しいです。




