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逃走

「信じられん…護衛の物たちが…」


オーランドさんは肩をがっくり落としていた。

しかも何度か護衛してもらってたっていうのだから。

よほど信用していたのだろう。


「助かった!有難う。感謝してもしきれないよ。荷馬車はもう取り返せないが、あともう少しの距離だ。きっと無事に王都までたどり着けるだろう」


オーランドさんは落ち込むことなく、俺に感謝の言葉を述べた。

前向きなのは良かった。


深夜の森の中は薄気味悪い。フクロウの声?も聞こえてくる。

明かりが無いのも、心もとない原因だった。

盗賊たちは血眼になって探しにくるだろう。

何とか逃げ切らないといけない。

あ、そうだ!


俺は自転車を出現させた。

「何ですかなそれは?」


多分この世界には無いのだろう。

これならば逃げ切れるかもしれない。


「ちょっと大変かもしれませんが、俺に捕まっていてくださいね。」


「重っつ・・」

自転車の明かりを付けての走行。

明るさで少しは気がまぎれる。

道が舗装されていないのでデコボコだが仕方ない。

俺は覚悟を決めた。


「王都ファンガムってここからどの位かかります?」


「馬車で一日、昼間移動の距離だがね。」


俺は自転車をこぐ。

後ろにはファーレンさんが俺の腰につかまっている。

異世界に来て、自転車こいでいるなんて変な気分だ。

俺は、夜通しこぎ続ける。

少しずつ空が白けてきた。もうすぐ夜明けらしい。


半日かけてだいぶ逃げ切ったかな?

オーランドさんも、俺に捕まる手が緩み始めていた。

眠気が限界のようなので休まないといけない。

安全な場所を作らないと。

一旦止まる。


「…?どうしたのかね。確かに夜通しだったものなぁ。私も限界…。」


オーランドさんが崩れ落ちる。


俺は簡易テントを出現させた。

家にあった物で組み立てたことがあったからだ。


「ここで休んでください。俺も少し休むかな…。」


眠気には勝てなかったようで…何か言おうとしていたオーランドさんは、テントの中に入って眠り込んだ。


一応、森の中で少し見つかりにくい場所だと思うけど…。

結界魔法とかあるといいなあ。

あいつらに見つかったら唯じゃ済まない気がするからね。


結界魔法で認識阻害にんしきそがいができるやつがいい。

・・頭の中にイメージできた。


少し練習して、手で範囲を広げ・・テントを覆う範囲の結界魔法を作った。

一日持つみたいだから大丈夫だよね。


「俺も寝ようっと。」


床が固いけど仕方ない。

休めるだけだいぶましだ。

オーランドさんは真ん中を陣取ってしまったので、俺は隅っこで寝ることにした。



****



体が揺れる感覚で目が覚めた。

「起きてくれ…ここは何処なんだ?」


オーランドさんが、先に目が覚めたようで俺を起こしたらしい。

気が付いたら知らない所で寝ていて、不安になってしまったのだろう。


どこって…あ、地図見れるかも。

俺は地図を表示させた。


「今はここだから…もう少しで王都ですかね?」


赤い光る点を指さして教える。

現在地が分かるようになっているのだ。

目をぱちくりさせているオーランドさん。


「凄い魔法だな…今まで生きてきて見たこと無い…アイテムボックスも凄いが…君、何処どこかの大魔導士かね?」


「いやいや…ただの冒険者ですよ…」


何だかだいぶ高評価されてるみたいだ。

あれ、そういえば…。

テントを開けて外を見る。

だいぶ日が昇っていて昼くらいだろうか。


心配したが、何事もなかったようだ。

魔物除けのつもりで結界を張っておいたのだが良かった。

昼食を取ってから、出発することにした。


「アイテムボックスに食料入れておいて良かった」


以前の旅の時に残った食料があって、それをオーランドさんと食べる。

再びオーランドさんに感謝される。


俺は自転車にまたがる。

オーランドさんにはまた我慢してもらうことになるけど。


今日中に何とか王都には着きそうだ。





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