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マルットは役目を終えたのだ

 戦闘後、アリスたちはその報告を届けに本当に来やがった。

「マルットォォォオ〜」


 アリスは部屋のベッドの枕にしがみ付き愛機との別れを惜しんでいた。


 そもそもマルットは作業用魔導機を魔改造したものだ。

 スペランツァ救出の際に積めるだけのミサイルを積んで、全弾ぶっ放したせいでミサイル発射機構が焼け付き、他にも色々とガタが来ていた。


 なので今回の特務隊へのおとりとして擬似バルーンと一緒に爆破させたのだ。


 少なくとも目立つ魔導機ではあったので、特務隊のおとりには最適だったのもある。

 あの丸っころい魔導機に煮え湯をくわされた特務隊としては、アレを撃破したことで少しは溜飲りゅういんを下げたことだろう。


 マルットは役目をまっとうしたのだ!

 誇れ!


 それはまあ、どうでもいいんだが……。


「いい加減、どういうつもりなんだ」

「なにがですか?」


 わざわざシャワーも浴びて、寝る準備万端の寝巻き用のシャツとズボンで3人は俺の部屋にやってきている。


 連続戦闘を避けるため、アリスたちは24時間の待機任務……つまり、休暇となる。


「師匠呼びはまだいい。

 100歩譲ってさらに100歩譲って、俺が教えて鍛えてもいるわけだから。

 だが、ここに来ても夜這いをしようとするのはどういうつもりだ?

 俺が我慢できずに手を出したらどうするつもりだったんだ」


「ええ〜」

「それは〜……」

「……抵抗はしない。多分ズブズブにハマる」


 セラがぶっちゃける。

 わりとセラはズバズバとものを言う。


 俺は半目になっていつものポンコツぶりに呆れる。

「だいたい、こんな短いうちで好いた惚れたもねぇだろ?

 交換条件なら納得もいくが、好意全面は逆に怖ぇよ」


 あのときはセラとアリスは否定していたが、クララが前に言っていた身体を代償にした交換条件の方が俺はしっくりくる。


「あー……、たしかに」

 セラは一度考えるように天井を仰いでから、ずずいと俺の方に身を乗り出す。


「……あえてそこ聞く?

 ……聞いちゃう?」

「お、おう……」


 俺は自分が迂闊な話を振ってしまったのかと動揺する。

 アリスとクララはそんなセラの様子を気にすることなく、バリバリとせんべいを食べながら見ている。


「……要するにアレ。

 若い先生とか優しいお兄さんに憧れるアレ」


 セラの意見にアリスとクララがせんべい片手に、おお〜、と感心した様子で拍手してくる。

 共感したのか?

 理解はできんが。


「なんでそうなる?

 どう見ても出会いからして怪しいだろうが。

 警戒心はないのか?」


 俺は挑発するように言ってみたが、逆にセラは呆れたように言い返す。


「クロ師匠は確かに怪しいといえば怪しいけど……自覚、ない?

 クロ師匠、悪い女に何度か引っ掛かってない?」


 なんで逆に女性関係を心配されなけりゃならんのだ。

 現在進行形で厄介でポンコツな女どもが引っ掛けに来ているが?


「あー、おまえらアレか?

 俺が善意でおまえらを世話してやってるとでも思ってんのか?」


「他になにが?」

 セラが聞き返すと、アリスもクララも同意するようにウンウンと頷く。


 さすがにおまえらを叩き潰すためとは言えん。

 敵としてじっくり育ててるとか本音は我ながら酷すぎるし、さすがにこのタイミングで敵対してもいいことはない。


「何度も言うが少なくとも善意ではないな。

 あくまで俺の都合によるものだがな」


 俺はおまえたちと殺し合いたいのだ。

 なのに手を出してズブズブの関係になってたまるか!


 手を出した後で殺し合いとか、痴情のもつれのアレコレみたいというか、どう見てもそれになるだろうが!


 だから手を出せないのであって、誠実なアレコレでは決してない!


 だが言えん!

 言えんのだ!!!


 それに対してセラはあっけらかんと言う。

 いつもの端的な言い方ではなく、スパッとスラスラと。


「利用するならするでいいんですよ。

 私らもクロ師匠を利用させてもらっているんですから。

 逆に据え膳食わないクロ師匠は変わってますよねぇ〜」


 それは確かにその通りだ。

 そうではなく、なぜそこに全力で好意をぶつけてくるのか理解ができないというだけだ。


「あー……、このさいですから、もっとぶっちゃけると。

 私たち恋に恋しているだけなんで」

 セラの言葉に、クララも同意を示すようにウンウンと頷く。


「えっ、恋?」

 アリスだけなぜか反応が違うのはこの際、置いておいて。

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お師匠様はライバルキャラ!
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