テキスト編
日本の漫画やアニメを観た外国人の意見を読んだり、リアクションを鑑賞して楽しむ、それが「海外の反応」というコンテンツです。今はそこまででもありませんが、数年前にはかなりの「まとめブログ」が存在していたので、知っている人は多いかと思います。今でも、YOUTUBEの勢いのある普及により、リアクション動画は増え続けているので、そこで見かける人もいるでしょう。
このコンテンツのはじまりは「Moonlight Fantasia」というテキストサイトだと思われます。2006年から更新のないままですが、サイト自体はまだ見ることができます。読み物としては非常に面白いもので、当時は更新を心待ちにしていた記憶があります。ところどころに拙い(失礼)アニメキャラクターを描いていたりするので、個人でやっていたのだろうと推測されます。
日本語訳の精度は英語がからっきしな私には計りかねますが、英語圏の文化に対する認識はとても豊富です。その知識からくる外人コメントに対しての注釈なんかには感嘆させられたものです。
『犬夜叉』のヒロインである日暮かごめ。彼女が嫌いな女性キャラクター一位を獲得してしまった背景なんかは面白かったですね。日本で漫画読んで、アニメ観て、をやっていれば「それはそういうもの」でスルーしていたところに噛みついていて、英語圏という世界をなんとなく味わうことができました。
さて、時代は10以上経過してテキストサイトは廃れ、「まとめブログ」の時代に入っています。いわゆる普通の「5ch転載ブログ」が片手間で翻訳考察することはなく、「海外の反応」をやっているところは「海外の反応」しか基本的には扱いません。
そこでは翻訳された文章とアニメのキャプチャを淡々と並べて、最後に管理人による小学生並みの感想が一言つけ加われて終わります。ブログの出来は玉石混合です。英語力は文章を読んでしまえば、というか眺めてしまえば明らかです。えらく短いレスを拾ってくる、二文以上の文は使わないブログは単純につまらないです。多く訳せば良いとは思いませんが、出来の悪い中学生の翻訳を読もうとは思わないです。
さて、そんな私が贔屓にしているブログがありました。しっかりとした翻訳はもちろんですが、それに対するレスポンスの選び方にセンスを感じました。日本人には伝わらないところには注釈を入れてくれたり、かつての「Moonlight Fantasia」を思い起こすほどでした。
このブログですが、丁寧にも書き込んだ方の国籍まで載せてくれていて、それがまたポイント高かったのです。今思えば、どうして知ることが出来たのでしょう?もちろん、記事元となった海外掲示板の管理人が判別することは容易です。あえて公開することは海外的には普通なのかな?とぼんやり考えていました。
アニメ版『寄生獣』の終盤の記事だったと思います。ドイツ人の方が、当時の過剰な自然保護について言及していました。私はとあることにより「あ、この人原作読んでるな。最後まで読んでる」と確信しました。まあ名作だし別に海外言語で出版されていても、それはいい。まるで構わない。だがなぜ他の方は「急に何言ってんだ」と言わないのか?なぜそのまま議論は発展していくのか。
「そうか、この人はドイツ人じゃない。ドイツ在住の日本人だ」
恐らくは、ほとんどの書き込みは海外在住の日本人です。なんならそうした人間を集めた掲示板サイトが引用元だったのではないでしょうか。
わたしが想像していたものではありませんでした。日本アニメに興奮する世界中の人々の集まりではなかったのです。海外赴任した、かなキーが打てない日本人の小さなコミュニティだったのです。
確証を得たわけではありません。しかし私の頭は一気に冷めました。よくよく考えれば当然ですね。大人がアニメを観るのは日本くらいですもの。いやあ、参りました。