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2. コンフィデンシャルとは?

「ハーバード大学卒業なんですって!」


また始まったなぁ……

人事のことなのに応募者の経歴とかをバラす、支社の代表。

いつか訴えられるのではないだろうか……


「すごいですねぇ」

「ドイツの方からのリクエストで、CPA持ってるっていうのは必須って言われていてね!ハーバード大学卒業とか東大卒とか、すごい人が応募してきてるのよ!」


いつもいつも、良くもまぁこんなに色々と大っぴらに言えるものだなぁ……


――――――――

「亜美ちゃん、お昼だよ~。食べにいこう!」


「あ、了解です!行きましょう!」


「今日の社食は何かしらねぇ~」


「お肉だったらなんでもいいかなーと思ってます。笑」


日本のメインオフィスは東京にあり、今日は研修ということで幸子さんとここ、東京オフィスにお邪魔している。

私が勤務する、名古屋のオフィスは立ち上がってからまだほんの1年くらいだ。売上が好調なので、新しく事務所を作って人員を新しく雇って……と、結構活発に動いている。最近雇われた人のうちの一人が私だ。


研修してくれる人……香織さん、もいい人だと思うが、何しろ言葉が足りない&忙しすぎる人なもので、説明の途中で中断、そして再開時にはどこからだっけ?からのスタートで思うように研修が進まない。文句を言っても仕方がないし、仕事をするのが初めてではないのでどうにか要領を得ようと取り組んでいる。


が、いかんせん、システムからのクエリのダウンロードの検索設定やら、見方、ドイツの倉庫への納期管理から出荷指示、現地担当者とのやり取り全部を理解するのは少し骨が折れる。ベースの経験があっても、システムの使い方ですらまだよく理解していないため、覚えることは試練だ。いや、負けずにやってやる!という気概は持っている。うん。


ある日、香織さんからA社の赤伝処理の方法を教えてもらうことになった。

「製品Aの赤伝処理するときの番号はこれ。製品自体の番号もあるけど、赤伝処理の時はこの番号ね。」


「わかりました。K社の赤伝処理に含まれる製品は5つありますが、その製品全てに別の番号があるのでしょうか。」


「は~。理解してないよね?待ってて!」


「え……?あ、あの……?」


「これ!製品Aは20個セットでの販売なの。だから1個だけの赤伝処理の時はこの番号を使うの。わかる?」


「はい、20個セットの時の製品の番号がこれで、1個だけの時はこれだということは理解しました。5つある中で15個セットの製品Bがありますが、その場合の番号は何になるのでしょうか。」


「は~~~。ちゃんと理解してる?あとは赤伝処理の履歴を自分で見て確認して。不良分はドイツに送ってるから、返却時のデータを確認して照らし合わせして。」


「わかりました。ありがとうございます。調べた後不明な点が出てきたときはお伺いさせて頂きます。」


その日の研修は終わって、なんとなく腑に落ちない気持ちのままもやもやしていたが、香織さんはさばさば系女子とのことで、言い方も悪気があるわけではないし、あれで通常運転らしい。


とりあえず、言われていた自分で確認して、の作業。とりあえず問題はそのドイツへの返送時の書類のありかだ。あと方法。今までの会社では、担当者に返送する旨を伝えて、返送用の番号をもらい、梱包してDHLで送ってた。ここの会社はどうやるんだろう。


「香織さん、お忙しいところ恐れ入ります。今お時間少々良いでしょうか?」


「ん?何かあった?」


「ドイツへの返送時の書類のフォルダと送り方を教えていただけないでしょうか。」


「あー、まだ説明してなかったね。とりあえずフォルダのURL送るね。あと、システムの方でドイツに連絡しなきゃいけないから今回はこっちでやっておくわ。」


「システムもどういう風にしたらいいか知りたいので、ご教示お願いします。」


「こっち来て、今からやるね。」


「ありがとうございます。」


……全然わからん。操作が早すぎて色々聞きながら、質問しながらメモを必死で取ったけど…落とし込みに時間がかかりそう。ベテランだから仕方ないんだろうか。


この作業を名古屋に帰ってきてから担当することになったのだが、システムの方はどうにかなり(見よう見まねだ)、インボイスや返品用の書類を整えた後、DHLで送ろうとしたときに会社のアカウントがあると言っていたのを思い出した。あとでIDとパスワードを送るって言ってたけど、そういえばまだ来てないなぁ……。


結局そのあと、香織さんに連絡し、必要な情報をもらって手配をして終わった。


なんだか全部後手に回っている気がして、もやもやするなぁ……まだ作業のフローを自分自身落とし込み出来ていないからこうなってるのかもしれない。一日も早く、一秒でも早く力になれるように頑張らないと!


――――――――――――――

「あの子言葉が通じないんだけど、いつもあんな感じなのかな~。」


「普段の様子はわかんないけど、どうなんろうねー。頑張ってるとは思うけどさ」


「うちの会社で一番年下だけど、なんていうの?甘えたな感じがしてちょっと鬱陶しいっていうか。」


「そもそも、俺は名古屋の事業所作るのは反対だったからねー。」


「言ってたよね~。」


「だって、別にこっちで回るじゃん、営業も作業もさ。名古屋と分ける方がめんどくさいじゃん。」


「確かに。本社も何考えてんだろうな。」


「まぁまだ始まったばかりだし、気長に教えてあげれば?」


「そうやって勝田くんは甘やかそうとするんだから笑」


「いや、そういうことじゃないけどな。まぁいいんじゃない。まだわかんないじゃん。」


「幸子さんが言ってたけど、あの子、幸子さんのポジション狙ってるらしいしね。」


「幸子さんもなんか不思議な人で、俺まだ何とも信じられないな。」


「ちょっと変わってるってのはわかるけど、ポジション狙われてるとか普通、なかなか言わないものだから、きっとそういうことなんじゃないの?」


「ふうん……ま、俺はあんまり二人に関わることないからどうでもいいけどね。」


――――――――――――――


香織さんも幸子さんも、オフィスのメンバーも、そして代表も、基本的にはみんないい人だと思っている私は、これ以上の陰口、悪口を言われているだなんて夢にも思わず、端から見たらとても滑稽な言動を取っていたのだろうと後々知るのであった。

これくらいは、どこの会社でもきっとあるんだろうなぁ…w

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