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戦いはここから

『亜美ちゃんは私のポジションに未練があるの?』


『……え?』


突然の問いかけに驚き、一緒頭が真っ白になる。


『え、ごめんなさい、どういうことですか?』


『未練があるなら、それはハッキリと上に言ったほうがいいと思うの。』


『いえ、私は私のポジションに納得していますし、幸子さんのポジションに未練はありません。』


『でもねぇ……』


全く納得行ってないようだが、そもそも何がきっかけでこんなことを言ってるのか、全く見当がつかないところが怖い。


-------------


遡ること2週間前。


念願の外資系企業に就職が決まり、その翌週にはドイツに研修へと飛び立った……一回り年上の幸子さんと一緒に。


私はカスタマーサービス、彼女はエグゼクティブアシスタント。


社内システムの研修とかは一緒に受けるものの、それ以外はそれぞれのところで研修を担当者から受ける。


久々に母国語ではない環境での研修で、頭の中も言語のシフトチェンジに四苦八苦している私と、イギリスで10年以上仕事をしていた彼女とでは、キャリアは勿論、言語の能力には雲泥の差だ。


私自身も色々と経験を積んできたが、思った以上に専門的な単語や言い回し、発音についていくのが精一杯で、自分の不甲斐なさに打ちのめされたりと忙しい日々を現地で送っていた。


そんな中、私のする仕事内容がイマイチ明確にわからず、モヤモヤしていた中で、幸子さんと休憩時間に色々話をしていた。ふとした時に、幸子さんはこういうお仕事をされるんですよね。と聞いたら、そうよ〜と返答が返ってきたので、そうだよな。と1人納得し、その後は別の話題になった。


仕事の後は上司や上司の奥さんと共にプチ観光に連れて行って頂いたり、ディナーをご馳走になったり、グループディナーに行ったりと良い時間を過ごさせてもらった。


今後仕事で付き合っていく仲間との顔合わせも済み、研修も問題なく終わり、飛行機に乗って日本へ帰るその中で、せっかくだから映画でも観ようと思っていたが、幸子さんが話かけてきたので、大人しく会話に応じる。


まだ出会って2週間、研修に2人で行って仲は多少良くなったかな?と思っていたが、突然降ってきた思いもよらない一言。


『亜美ちゃんは私のポジションに未練があるの?』だ。


根気強くドイツから日本に着くまで、未練はないこと、自分の仕事に集中する旨を伝えたのだが、どうにも納得が出来ていないようだ。


とりあえず飛行機も到着したので、帰宅し、その日は疲れ果てぐったりと布団に潜り込んだ。


もう何も考えたくない……



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