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俺の周りに超絶美少女が多すぎな件  作者: 向井 夢士
3章 1人1人の物語
15/31

15話 私は1番になりたかった

 橘の件もひと段落して、もうすぐ夏休みとなった。


 部室で凛先輩と話すのも久しぶりだ。


「もうすぐ夏休みですね」


「……清輝君はもう怒ってないの?」


「怒ってるわけないでしょ。凛先輩は悪くないです」


「ありがとう。あと、清輝君のことも」


「いいんすよ。振られたからって離れていくわけじゃないですし」


「……これからまた頑張っていくよ」


「?」

 意味はよくわからなかったが、凛先輩は気にしないでね、と言ったその時ドアが開いた。


「なんだ、ウミじゃねぇか。どした?」

 ドアを開けたのはウミだった。


「実は相談があってさ」


「相談?」


「まぁ相談っていうか悩みなんだけど。いや目標かな。どうしたら私は1番になれる?」


「1番って言うと?」

 凛先輩が入ってくる。


「ここからは長くなるけどいい?」


「いいよ」

 俺がそういうと、凛先輩もうなずいた。


「私っていつも2番とかなんだよね。運動でも2位だし、勉強でも2位までいったけど1位にはなれなかったからやめた。いつも2番っていうか勝てないんだよね。

いつも平均より上、みたいな」


 ウミはさらに言葉を続ける。


「1位になったこともあるよ。けどそしたら意外だの、よく頑張っただの、繰り上げだとかいろいろ言われてさ」



「友達だってそうだよ。親友と呼べる人なんて数少ない。ほとんどは話しやすいまぁまぁ仲良い人でとまってる」


「でも」


「テルだって私は下の方じゃないの。結局、クラとシンの方が大切なんでしょ」


「いやでも……」

 俺は言葉に詰まってしまった。


「人間なんてそんなもんだよ。理想的な人なんて1人もいない」


「ウミ……」


「覚えてないでしょ? 実は私さ、昔テルとあったことあるんだよね」


「⁉︎」

 全く覚えがなく、驚いた。


「やっぱり覚えてないか。実は小学1年生の時、私凄い暗かったんだよね。その時さ、テルにそんなの楽しいのかーって言われてさ」


「楽しくはないって言ったら、なら明るくなっていこうって言ってくれて……それで今の私はいる」


「まぁ転校しちゃってそれ以降話すことはなかったんだけどね」


「清輝君は昔から優しかったんだね」

 凛先輩が言う。


「とりあえず私は1番になりたいのっ! 誰にも負けない最強の1番に!」


「1番にこだわらなくても……」

 なんで1番にこだわるのかわからなかったけど、


「あぁもうっ! 私はテルがずっと好きなの! テルの1番に私はなりたいのっ‼︎」


「ウミ……」

 俺はこれでわかってしまった。だって俺も昔、そう思ったから。


「誰にも寄って欲しくない。重いって思われるかもしれないけど、クラや凛先輩、それにヒナだって寄って欲しくない」


「いやでも俺今そういうのは」


「今好きな人はいるの?」


「いない」


「だったらいいじゃん……私はテルがずっと好きなんだよ……付き合ってよ」



「ちょっと待って」

 凛先輩が入ってきた。


「凛先輩。邪魔しないでください」


「清輝君は私のものって言ったら怒る?」


「ふざけはやめてください」

 ウミは本気で怒っているようだった。


「本気、だとは思わないの? あの件は私に間違いがあったってことだし、あの姿をみたら惚れたとは思わないの? ま、あとはご想像にお任せするけど」

 その小悪魔的言い方に俺もドキッとしてしまった。


「……」


「結局テルは好きな人、今いないんだからいいじゃんかっ!」


「でも好きじゃないのに付き合うのはない」


「ほら、私は1番になれないんだ」


 そう言ってウミはどこかに行ってしまった。


「1番になれないか……私にとってはウミちゃんも1番なんだけどね……私なんかより全然凄いのになぁ」

 

 凛先輩はボソッと外を見ながら小さな声で言った。


最近身体のどこかが痛いたくたくです。

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