10話 橘とかいう奴
今回は少し短めですが。
凛先輩は学校に来てなかった。俺はただどうしていいか分からず、ただボーッとしていた。するとクラとシンが話しかけてきた。
「今日なんかあったか? 先学校行ったっていうからよ」
シンが優しく問いかけてくるが今の俺にはきつい。
「あぁ悪い……ちょっとな」
「ちょっとって何よ。はっきり言えば?」
クラはちょっと苛立ちながら問いかけてきた。
「……それもそうだよな。振られた」
「……振られたって凛先輩に? 」
「あぁ。はっきりと振られたよ」
「え」
「まぁそんな事もあるって。気にすんな気にすんな」
そう言いつつもシンも驚いていた。
「だな……」
今日の授業は全然頭に入らなかった。そしていつのまにか放課後になっていて、俺は部室で、窓から外を見ていた。凛先輩も昔はこんな感じで見てたのかな。
するとドアが開いた。振り向くと大人っぽいかっこいい男性だった。
「ここが相談部だな?」
「はい、そうですが」
「俺は2年の、橘 真司って言うんだけどちょっといいか」
「なんでしょうか」
「今日、凛は来てないだろ? でここだけの話なんだが」
「凛先輩って嫌われてなかったですっけ」
「あーー俺は、そういうの気にしないから」
「で、なんなんですか」
「俺は、小倉凛を自分のものにしたいんだよ。だからお前は、それを協力してくれ」
「なんだとてめぇっ。殴られたいのかっ!」
そう言って俺は橘を殴りかけたところでなんとか止まった。
「おっと、君に発言権はないだろう? まぁそうだな……君は振られたのかな。あっはっは」
「……」
「だったら君は僕のところに凛を連れてきてくれるかな。その方が面白いし」
「それはむ」
言いかけたところですごい力で口を塞がれた。
「無理とは言わないだろ? だって君は"相談部"なのだから」
「……わかりましたよ」
「あ、反逆とかしようと思っても無理だからね。僕は格闘系は得意だし、生徒会に所属してるから。それでは明日、よろしく」
この橘という奴は相当やばい奴と感じた。俺は振られた身だが、これはどうにかしなければならない。
とりあえず明日、凛先輩の家に行ってみよう。そして橘を倒す、と俺は心に決めた。
今回から話はテル達3人の関係と小倉凛、そして橘が絡むストーリーになります。今回はその序章という感じで。




