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黒剣 VS 素手 全てはナンバー2のため

 血の気が引いた。

 先程のように食らったら間違いなく俺は下半身とサヨウナラをする直感がある。

 鞘がない分、スピードも落ち、剣筋も読みやすいかもしれんが、躱して反撃できるほどの余裕があるだろうか? 自信はない。

 エンシャントソードで受けるか? 無理だ。

 剣ごと両断される。

 宙に飛ばされた時のように超パワーで解決するか? ナターリアが死んじまうかもしれない。

 今にも四天王が一人しかいないってバレそうなんだぞ。

 ともに魔王様を守り立てようとか言葉で説得するか? 不可能だ。

 ナンバー2の弁論術を持ってしても、この手の武人系堅物女を説得することはできないだろう。

 ……危険だが、アレしかねえ!

 俺はナターリアに近づきながらエンシャントソードを投げ捨てた。


「ゴルゴダ、敗れたり。剣を捨てるとは勝負を投げたか!」


 ナターリアが黒剣を横に薙ぐ。


――今だ!


 黒剣が俺の脇腹に触れる瞬間、両手で挟み込む。


「な、なに!?」


 ナターリアの虚を突いた瞬間に剣をねじる。

 ナターリアの体は綺麗に回転して地についた。

 黒剣は俺の手にあった。


「いつの間に剣が……その技は?」


 ナターリアの落ち着いた声は勝負がついたことを示していた。


「柳生流奥義無刀取り」


 危ないところだった。

 体内魔力を爆発させて超超々スピードになれたり、居合斬りを知っていたり、黒剣に鞘があったり、前世で柳生流無刀取りのナンバー1になっていたから良かったようなものの、この内一つでも欠けていたら俺は両断されていただろう。

 ナターリアが無刀取りを知っていても斬られていたハズだ。


「ヤギュウリュウの奥義ムトウドリか……素晴らしい奥義だ……」


 殺し合いがデフォルトの異世界ではわざわざ素手になって敵の剣を掴んで小手返しで奪い取りながら投げるなど考えもつかないだろう。


「知りたければ教えてやる」

「い、今の奥義を教えてくれるのか。惜しげもなく……」


 そんなことはどうでもいい。


「お前ら聞け!」


 俺はナターリアを無視して観戦席の魔族たちに叫ぶ。


「ナターリアの剣は魔族一だ」


 シンッとしていた魔族がどよめく。


「え? でも魔宰相が黒剣を奪って勝ったし」

「だよな」


 そういう声があることも想定している。

 だが、無刀取りが柳生流の剣術なんて魔族たちは知らないだろう。

 力技で強引に説得するしかない。


「俺は剣では勝てないから素手で勝ったのだ。試合に勝ったのは俺だが、剣で勝ったのはナターリアだ!」


 ごちゃごちゃ言っていた魔族たちの様子を見る。


「そ、そうか。やっぱ剣は剣鬼姫が一番なんだな」

「でもゴルゴダ様が決闘には勝ったと」


 会場からはゴルゴダバンザイコールが起こり始めごちゃごちゃ言っていた魔族たちもそれに加わった。


「ゴルゴダ様バンザーイバンザーイ」


 ふう。なんとかなったみたいだな。

 もしティアを連れてきていたらバーサーカーモードが発動したかもしれん。

 ふとナターリアを見ると地に寝たまま涙を流していた。


「ゴルゴダ殿。完敗だ」

「いや剣はお前が一番だから。今日からゴルゴダ四天王になる約束も忘れんなよ」

「この命、魔王様と……その……あの……貴公に……捧げよう」


 俺は笑ってナターリアの腕を引っ張り上げる。


「今日からナターリアをゴルゴダ四天王とする!」


 観戦席の魔族たちに宣言するとゴルゴダ様バンザイコールの中にナターリアバンザイコールも混じる。

 ふふふ。

 ナンバー2の威厳も益々増したし、ゴルゴダ四天王の数が少ないことを気にしている奴は一人もいないようだ。

 しばらくは誤魔化せるぞ。


 ところでナターリアはこの黒剣を何処で手に入れたんだろう?

下の画像の漫画もよろしくね!

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