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初戦! 日本刀VSエンシャントソード!

 俺は魔王城の野外にある闘技場の中央に一人立ち、ナターリアを今や遅しと待ち構えている。

 本当は開始の合図役のユダも隣にいる。

 観戦席にはところ狭しと魔族が詰まっている。

 ナターリアがくるまで奴らの噂話でも聞いているか。

 聴覚強化の魔法を唱える。


「魔宰相は魔法を使わないらしい」

「いくら魔宰相でも、剣の勝負で剣鬼姫に勝てるのか?」

「どちらも無傷ではいられまい」


 ふふふ。

 勝てば魔王国ナンバー2の評価はさらに盤石になるだろう。


「ところでゴルゴダ四天王って誰なん? お前、知っている?」

「いや。確か例の人間の女勇者がゴルゴダ様に屈服して四天王の一人になったって聞いたけど」


 や、やべえ。

 やっぱさすがに四天王が一人じゃ、怪しむ奴らも出始めたか。

 早急にナターリアを四天王に加えて誤魔化さないと。


「またせたな。さあ剣を抜け」

「そうさせてもらおうか」


 エント村からこっそり拝借したエンシャントソードを抜き放つ。

 ラスダン前の村の宝剣だ。


「魔宰相の剣は見事なものだな」


 その辺のミスリルの剣でも良かったが、晴れ舞台だからな。

 ゆっくりとナターリアが剣を抜く。

 反りと波紋が美しい片刃。

 やはり日本刀だ。


「ゴルゴダ、まさかお前が剣を使えるとは知らなかったぞ。その剣だけでお前の腕前がわかろうというもの」


 ふっ。当然だ。

 俺は齢五歳にしてフランシス王国騎士団最強の親父から剣の奥義を皆伝。

 さらにその剣を独自に磨いたのだ。


「はじめ!」


 ユダが試合開始の合図をして一目散に逃げていく。

 ナターリアは刀を持った両手首を頭の位置で交差させ、切っ先をこちらに向けた。

 ほう。いわゆる上段の霞構えか。

 一方、俺の構えはいわゆる剣道の姿勢である正眼の構えだ。

 あらゆる状況に対応できる。

 正眼の構えから真っ直ぐに最短に突けばナターリアの喉元だ。

 まずは小手調べにと突こう思ったときだった。


「なにっ」


 ゆらりとナターリアの体が横にゆれ、気がついたときには右手から間合いに入られていた。


――ギンッ!


 上段からの袈裟懸けをなんとか受け太刀する。


「この私の初太刀をよくぞ受けたな。剣を合わすなど百年無かったぞ!」

「こ、こっちの科白だ」


 本来、剣と剣は合わせるものではない。

 痛むし、折れることもあるからだ。

 親父は剣と剣を合わせることやむを得ずの法とすると俺に教えた。

 まさにやむを得ない受け太刀だった。

 だが、エンシャントソードは切れ味に劣るが、分厚いアダマンタイト製。

 折れるなら薄い鋼の日本刀だ。

 力の勝負でもこちらに分がある。

 このまま押し斬る。

 ナターリアの体がまたゆらりと横にゆれる。


「逃さん!」

「さすがだ、ゴルゴダ。逃がさんか」

「舐めるな! 一度、見た動きだぞ!」


 受け太刀を嫌ったのだろうが、今度は逃さなかった。


―――ギッギッギリッ


 ナターリアに覆いかぶさるように剣を押し込む。

 地に押し込むまで後一押しというところでふっと剣が軽くなる。

 ナターリアは自ら地に倒れ込み、地スレスレで受けた刀を下から押し上げたのだ。

 鎧とあわせておそらく200キロはあろうかという俺の体が巴投げの要領で宙に舞わされた。


「しまった!」


 ナターリアが流れる水のよう動きで宙に浮いた俺の背後を斬ろうという位置に着いた。

 宙から観客席が目に入る。

 リリスが腕を合わせて祈っていた。


「心配するなよ。俺は無敵だ」


 剣を持つ右手に力を込める。

 宙に舞いながら力任せに闘技場に投げつけた。

 コツは剣を直角に投げること。

 そうしないとアダマンタイトの剣でも耐えきれない。

 剣は空気との摩擦で火を吹く。

 それは隕石を超える超超超々高速だ。

 剣が大地に刺さった、激突した瞬間、同心円状に衝撃波が起こった。

 ナターリアは刀を斜めにして防御したが、女の体重では支えきれない。

 後方に吹っ飛んでいった。

 観客席の魔族たちも下から上へ倒れていく。

 俺は余裕を持ってふわりとエンシャントソードの横に着地した。

 地面の穴に手を突っ込んだがエンシャントソードは深すぎて取れない。

 地面の下の手にこっそり転移魔法で剣を転送させる。


「よし、折れてねえ。さすが宝剣」

「ば、化け物め」


 ナターリアが立ち上がる。

 この世界では魔法とは別に魔力を肉体の運動に使っている。

 俺は本気になれば超巨大隕石を爆散させる魔力がある。

 魔力を肉体の力に変換すればこんなものだ。

 それに……。


「投擲も剣技の一つだ」

「知っているぞ。人間の剣技だな。威力は段違いだが」


 ほう。知っていたか。

 さすが剣鬼姫と言われることもある。親父から教わったフランシス王国騎士団の技も知っていたか。


「ならばお前はこの技を知っているか」


 ナターリアは目をつぶり腰を落とし前傾姿勢になって刀を納めた。

 それ居合斬りやん。

 この異世界で知るものは少ないのか、あるいはいないのかもしれんが、地球の日本の子供なら全員知っている。

 衝撃波で飛ばされた観客席の魔族たちがやっと起き出した。

 聴覚を強化しっぱなしだったので会話が耳に入ってくる。


「力の剣ゴルゴダ様に、技の剣ナターリアか」

「動のゴルゴダ、静のナターリア。レベルが高すぎる。どちらが勝つのか」

「まさしく魔王国の剣士ナンバー1を決める戦いよ」


 げええええええ。忘れていた。

 俺にとって久しぶりに歯ごたえがある敵が現れてノリノリで戦っていたが、ガチで勝ったら魔王国剣士ナンバー1にされるやん。

 な、なんとか剣で負けて、試合に勝つみたいなルートはないものか。

 そうだ! ナターリアは居合だ。

 俺はエンシャントソードを大上段に構えて、脇腹をがら空きにしてナターリアの間合いに入る。

 見事な居合斬りだ。

 それを知らなければ剣筋すら見えなかったかもしれない。

 だが、俺の目は捕らえていた。日本刀がゴルゴダの鎧に触れる瞬間を。


――キンッ!


 日本刀は折れ飛んだ。

 ナターリアの居合斬りならアダマンタイト製の剣でも両断しただろう。

 だが、いくら技があっても日本刀ではゴルゴダの鎧に傷一つ付けられない。

 居合から俺を斬り抜こうとしたナターリアが振り返って構えを解いた。

 俺もゆっくりと振り返る。

 既にお互い戦闘態勢ではない。


「見事だナターリア。試合に勝ったのは俺だが、お前の剣は確かに俺を上回った。剣のナンバー1は……」

「勝負はまだついていないぞ」


 剣のナンバー1はお前だと主張することで、ひいては剣のナンバー2は俺だと暗に主張する肝心ところでナターリアに遮ぎられる。


「勝負はまだついていないってお前の刀は折れただろう。他の剣でもこの鎧の前では同じことだ」

「それはどうかな?」


 ナターリアが美しい口元をニヤリと上げる。


「いでよ! 黒剣!」


 ナターリアがそう叫ぶと、空はにわかに暗雲が立ち込め稲光が走る。

 天から一振りの剣が落ちてナターリアの足元に突き刺さった。


「な、なんだ、あの剣は!? ゴルゴダの鎧と同じ金属!?」


 はじめてゴルゴダの鎧を見たときも思ったが、ミスリルでもアダマンタイトでもオリハルコンでもない謎の超金属の剣だ。


「お前の鎧が先程の剣では斬れぬことはわかっていた。だが、この黒剣なら両断可能!」


 ま、まずい。

 どうしたら試合に勝って、剣の勝負で負けるという形にできる?

 つうか下手したら死ぬぞ。


「戦ってわかった。ゴルゴダよ。お前の剣は尊敬できる」


 ナターリアは鞘なしの黒剣で居合の構えをとる。


「だが全ては魔王様のおんため。黒剣の錆になれ!」

下の画像もよろしく!

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