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勇者召喚の帝国と人形遣いの皇女様  作者: バッド
2章 けんこくきのはじまり〜
14/21

14話 人形皇女は人形でお出かけをする。

 ワイワイガヤガヤと喧騒が酷い。貧乏王国には無い騒がしさ。様々な人族が歩いており、商売人が客寄せの掛け声をあげている。ドワーフが一番多くて次は狐人族。狼人族が次点で、猫人族である。稀にエルフの姿やアラクネ族の姿が垣間見える。


 この世界、人型知的生命体は殆ど国を作り文明を持っているんだよね……。


 いや、現実だとそうなるか。人型知的生命体である以上、競争精神もあるのだ。のんびりと人間族の数の多さに国を作らないで負けるなんて小説みたいなことはないのだ。実際は基礎能力の差で、この世界のような中世のような身体能力がメインになる世界では人間族は圧倒的に不利となる。


 みんな獣の顔ではない。ただ狐や狼、猫の耳と尻尾が生えているだけだ。これだけで人族とは身体能力がだいぶ変わるという。


 正直、ほとんど同じ人型なんだから差別をする必要はないと思うのは日本人の記憶があるからだろうか。


 まぁ、地球でも肌の違いで差別をしていた時期があるからね。今でもある地域は存在するだろう。耳と尻尾が生えていれば、それだけで差別意識が発生することも無理ないことかも。能力も明らかに違うしね。


 でも私は思う。モフモフさせてくれと。異世界転生小説ではモフモフ好きな人が獣人にモフモフさせてくれとお願いするが、当たり前だろう。モフモフしたら楽しそうなんだもん。私も頑張るよ。いつかきっと獣人族を部下にしてモフモフしてやろう。その時は可愛い獣人女性にするつもり。


 残念ながら、今の世界では人間族は蔑まれているので、モフモフをさせてくれる獣人族はいないだろう。


 というか、人間族が人と獣の間の中途半端な存在なら、獣人族はどうなるのさ?と考えたところ、獣人族は獣の力を取り入れて、さらに力を得た高位の人族なそうな。なるほどよく考えたものである。人族らしい考え方だ。


 私が今どこにいるかと言うと、もちろん人間族の国、カサマー国ではない。こんなに様々な種族が交わる地域なんてない。いつか作りたいけどね。


 貧乏な国=魅力的な素材や食料、物は無いので、商売根性逞しい商人も来ないのです。グスン。この世界、行き来するだけでも、魔物がたくさん出るから、ある程度の安全な街道か儲けが無いと商人はこないのだ。カサマー王国にそんなのあるわけないのである。


 ここはカサマー王国の北部にある資源豊かな鉱山山脈を持つドワーフ族のサンガ・ロード・ランプナー王の街だ。みんな鉱山から取れる鉱石や鉱石から作られる武具を求めて来ている。ここの王様は1代でこの鉱山山脈を乗っ取ったという話だ。前はランプの油を売る行商人だったそうな。凄い。


 でもドワーフは200年は生きると言う話。でもそれは噂でドワーフやエルフは老化が顔に出ないからのデマだという噂でもある。エルフも200年は生きると言われているからね。


 そんな街に私たちはやってきた。というか、私はデックに乗っているだけで、実際はおうちでゴロゴロしています。太らないように気をつけないと思ったけど、魔法力はカロリーを凄い使うらしいご都合設定なので、なかなか魔法使いは太らないらしい。反対に痩せる方が多いのだそうな。私も痩せぎすにならないようにいっぱい食べようっと。あと筋肉が落ちないように気をつけないとね。最低限の運動はしよう。


 その私は新型デックに乗っています。さらば1型。早くも旧型になりました。機械の進歩は速いのです。


 そんな新型の性能はこんな感じ。


デック2型 (アイアンタイガーの毛皮と骨)

耐久力50

エネルギー360

防御力20

敏捷力20


アイアンアックス 攻撃力20

アイアンヒーターシールド 防御力20


 おわかり頂けただろうか?アイアンタイガーの毛皮と骨を使いました。これによりアイアンの名前をつけたデックになりました。性能は驚きの倍に。でも元が丸太だからね……。丸太で、あれだけの力を出せたことが驚きかも。


 そうです。あれからアイアンタイガーを倒しまくったのです。森にいる害獣なので、たくさん倒しました。アイアンタイガーは自分より強そうな敵の匂いを嗅ぐとすぐに逃げちゃうんだって。森で逃げられたら、まず倒すことは不可能。でもデックは匂いが木だからね。きづかれない。


 それで肉はまだ人形化の自信がないからパスしました。いつかやろうとは思います。でも少し怖いな……。


 アイアンタイガーは肉食で美味しくなかったので国民に振る舞ったら喜ばれたとお爺様が言ってた。ちゃんと血抜きをしないといけないこともあったね。どんだけ肉に飢えているんだ。


 それで余ったアイアンタイガーの毛皮を売るべく北部のランプナー街に来たという訳。あと、新型の性能確認。


 なんか私は性能試験ばかりやっているような気がするな……。でも今回は一味違う。


 私の乗っているデック、角付きで3メートルの巨体。アイアンタイガーの鎧を装備しているように見えます。実際はデックの装甲なんだけどね。


 それと随行して、角なしデックを6機連れてきている。ちゃんと想定どおりに動くかの確認だ。アリスと一緒に凄い長い設定の内容を作ったのだ。記憶領域を利用できるアリスがいなかったら諦めていたね。


 そんな私ことデック部隊はローブを被って顔を見られないようにしている。私の趣味でモノアイにしてるので。


 父様が困った表情でモノアイはやめてくれと言われたけど、デックはモノアイにすると決めたのだ。やめません。


 全く違うオンリーワンを作るときに普通の目にすることを検討するよ。検討するだけだけどね………。


 この巨体はオーガ族の傭兵に見えるから違和感があまりないそうな……。オーガ族は戦闘好きでアホなので傭兵が凄い多いらしい。強いし。


 というわけで、お爺様、ギュンター爺さんだけで来ている。弱い兵は足手まといになって危険なだけだから連れて来ないんだと………。哀れだね………兵士たちよ。


 そして王様直々に売りに来る悲しさよ………。悲哀しかないよ、お爺様………。


 お爺様たちの後ろにデックは随行している。背中には山とアイアンタイガーの毛皮を背負っている。ごめんね、アイアンタイガー……。高いと聞いて乱獲しちゃったよ。幼女のやることだから許してね。


 そんな初めてのおつかいに私はお出かけだ。本人がいるわけではないんだけどさ。


「ネム、問題はないか?」


 お爺様がこっそりとこちらへと小声で聞いてくる。なので私はデックの首を縦に振る。音声発生装置は搭載していないからね。これも必要かぁ。でもどうやって私の声を伝えようか?


 デックが首を縦に振ったことにより安心して、また歩き始める。


「ギュンター。いつもの商店には行かないぞ。悪徳商人の店を選ぶ」


 鋭い目つきでお爺様はニヤリと人の悪そうな笑顔でギュンター爺さんに声をかける。


「はっ? わざわざ悪徳商人を?」


 ギュンター爺さんが不思議そうに首を傾げるのを見て、お爺様が話を続ける。


「そうだ。あのナーガ族の店が良いだろう」


 そしてこちらを見ながら言う。


「余は顔を見られないようにローブで隠しておく。そなただけで取引をせよ。性能試験を行う」


 その言葉に眉をピクリと動かしてギュンター爺さんは答えた。


「はっ! 良い性能試験となると良いですな」


 返事をしながら、悪そうな笑顔をギュンター爺さんもするのであった。


 幼女の教育に悪いよ。お二人さん。




 ガションガションとデックは足音をたてながら、いやコックピットにしか、この駆動音は聞こえないから、ドスドスって感じだけど。そんな感じで二人についていく。


 二人は大通りではなく、細い裏道へと入っていく。大通りには色々な人種のるつぼだった。その中に人間族は全然いなかった。なんか荷物持ちとか、掃除をしている人のとか。


 なんだかしょんぼりです。知恵で成り上がって商店を経営している人間族がいると、少し期待していたのです。それは夢だったようですね。カサマー王国にしか人間族の商店はいないみたい。


 仕方ないけどね、今は。いつか人間族の商人が行き来できるようにしましょう。


 そう思いながら移動している二人についていく。裏道に入るとお爺様はフードを被り顔を隠した。どうやら有名人らしい。


 人間族でも突出した戦闘力を持っているお爺様だ。この周辺では有名人なのだろう。


 それまではならず者と思われる奴等はちらりとこちらを見て、お爺様を確認して興味をなくして去っていった。


 しかしギュンター爺さんのみになると、ニヤニヤとした表情で睨んできた。こちらにちょっかいはかけてこない。後ろにデックが7機もいるからね。


 でもギュンター爺さんはそんなに有名人ではないらしい。戦闘力が違いすぎると言っても、人間族どころか人族の中でもかなりの強さだと思うんだけど。


 恐らく人間族だからどうとでもなるという、根拠のない自信があるのだろう。馬鹿にしている種族だからという理由は、地球でも同じようなことがある。運動神経が悪いからと馬鹿にしてたのに、勉強で負ける人とか。


 1つの欠点を万事に当てる最低の奴等。そういう奴等があいつらなのだと理解する。う〜ん、幼女らしくない考察だね。優秀すぎるのも困ったものである。テヘへ。


 ギュンター爺さんが足を止める。薄汚れた店だ。どうやら目的地についた模様。なんか色々置いてある。外にも樽に錆びついた鉄の剣やら、吊られている野菜?果物?やら。


 怪しい雰囲気爆発だ。なんだか期待できますね。


 お爺様、そこの果物は美味しいのですか?あとでお土産によろしくお願いします。可愛らしい孫である幼女とのお願いですよ。

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