今後の三人の育成方針
9.今後の三人の育成方針
スピカによると光の神殿へ続く雲の道は狭くて逃げ場が無いため、狩場としては不向きであるという。そのためメアリ達は地上界へのポータルからオパール町に戻る事にした。メアリはポータルの直前で立ち止まった。
「あ!そういえばさ、天界へまた来るには死ぬ以外に行き方ってあるの?」
スピカ「んっとね~、王都の近くに天の丘っていう場所があるのよ。そこから行けるわ。もちろんデスペナはないから安心して」
「ありがと!それならオパール町に戻っちゃって大丈夫だね」
三人はポータルに入り、オパール町に戻ってきた。
メアリ「ふう~戻ってきた~♪」
レグルス「それで本格的に育成って具体的にはどうするの?」
「とりあえず私たちが森から来たときに入った東門からフィールドに出よう。そこまでの魔物なら凶悪な状態異常を放つ敵は居なかったみたいだからさ」
メアリ達はオパール町の東門を出発した。森までの道は踏み跡があり、整備されているが、そこから横に外れて町の外壁に沿うように移動した。
メアリ「私さ、敵が湧くフィールドの中でも町の入口のすぐ横の空間が特に大好きなんだよね~」
レグルス「ああ~。分かる人には分かる。一番夢に溢れている場所かもね」
「よし。ここで私が以前居た世界のネトゲで培ってきたロールプレイのノウハウを元に今後の育成方針をクリエイトしようと思うんだけど、少し付き合って貰ってもいいかしら?」
二人「りょうかい」
「まずはレグルス!」
「はい!マスター!」
「なぜいきなり従順に!?」
「いあー、たまにあるじゃない?そういうロールプレイがしたくなる時」
「んもう…レグルスったらぁ//(≧▽≦)」
スピカ「いいから早く本題に入りなさいよ」
「おほん。えっと、レグルスは遠距離攻撃をメインに戦闘したいんだっけ?現在はどんな種類の武器を使えるの?」
「軽めの銃と弓やボウガンをよく使っているわね」
「ふむ。遠距離ってソロだと強いんだけどパーティで貢献するイメージがあまり無いっていう……。器用貧乏みたいな?」
「うっ…痛い所を突いてくるわね…。でも私なりにパーティで貢献する方法、メアリと出会ってから全く考えて無い事はないのよ」
「おお~。その方法を是非共有しておきたいね」
「うん。まずはソロでの強みを生かす場合だけど、今後色々と冒険するに当たって事前の情報を集めたい時に貢献できるわ。私だけ偵察に行って、敵の種類や地理的な情報を持って帰ることくらいはできるよ」
「なるほど」
「次にパーティでの役割だけど、1つは錬金を利用したポーション類で回復、状態異常回復に加えて一時的な強化いわゆるバフを付与することもできるわ。
そして2つ目だけど、戦力的に貢献するために土魔法を修練しようと思ってるの。錬金術とも相性が良いらしい。バフ効果が強化されるとかね」
「ほほう。それはかなり活躍が期待できるね」
レグルスは「まあね」と自慢げな表情を浮かべた。
「それじゃあ次はスピカの役割についてだけど…」
「ドキドキ…」
メアリは、にやにやした表情でスピカを見つめた。
「な、何よ~…気持ち悪いわねー」
「たぶんスピカが一番派手に戦闘で活躍することになりそうだから…ね?」
「え、そうなの~?」
「うん。スピカはステータス振り分けシステムって分かるよね?それを採用してくれると分かり易いと思うんだけど」
「分かるわよ。レベルアップとかで貰ったポイントを消費してステータスを成長させていくシステムでしょ。でもどれを上げるか迷っちゃうわよね」
「うん。そこで提案なんだけど、臆病な性格を特性に変えて、体力に極振りしてみなよ。特性効果で体力ならボーナスを得られると思うんだけどね」
「体力か~。上げてみる価値はありそうね」
「そそ。さらに職業なんだけど、武闘家やパラディンの気持ちで修練してみなよ。武器は盾でよさそうね。将来は魔力で盾を自由自在に操れるようになったら、攻撃防御がカオスな事になってきて面白そうよ」
「ふーん…盾を物理的に操作するのも面白そうだけど、わたしは武闘家の職業の方に惹かれるわね」
「じゃあ武器はどうするの?」
スピカによると武器は物理的に装備せずに能力として装備者に吸収することもできるとのことだ。ただし上昇するステータスは装備本来の能力の半分ほどになってしまうらしい。
「わたしは自分の羽に盾を吸収させて、羽の能力と背面の防御を強化したいわね。正面は格闘スキルを鍛えれば死角は無くなりそうだわ」
「なるほどね。そこでも役割分担って訳かー。ロールプレイの極みだね。スピカの成長が楽しみだよ~」
「えっへへ~//」
「最後に私だけど、現状、近接戦闘に特化するスピカと支援に特化するレグルスがいるから陣形的には中距離担当になるね。横からの攻撃とかにも対応するために武器を槍にしようと思ってるんだけどどうかな?」
レグルス「槍は比較的魔力の干渉も少ないし、いいと思うわよ」
「そうなんだ。職業の名前、魔法剣士から魔法騎士に変えれるかな笑」
メアリは深呼吸をして『ふんぬ!』と気合を入れた。
ピロリン♪
「お、職業変わった。しかも魔法剣士と同じLvを維持できたみたい」
「お~、そりゃ良かったね」
「うん!魔法槍とかいうロマン。妄想が捗るぞぉ~↑」
メアリはテンションを上げると続けてこう言った。
「それじゃ、例の……私の妄想にちょっと付き合って貰ってもいいかな?」
レグルス「もちろんいいわよ」
スピカ「仕方ないわね~、こうなったメアリは止められないものね~。我慢して聞いてあげるわよ」
「ありがと。それじゃ私の妄想タイム始めるよ~」
メアリは大きく息を吸い込むと、脳内の溢れんばかりの思考、あるいはストレスを吐き出すかのように支離滅裂にしゃべり始めた。
「まず、槍はリーチ長いし、その上魔力を纏わせればさらに攻撃範囲が大きくなる。そして同時に防御にも優れるから中距離ポジションに最適だよね。そしてスキルだけど、まず振り回しは基本だね。全方向に攻撃&防御を展開できる。
次に連続の突き技ね。これが火力の主軸になるかな。時間あたりの攻撃回数は柔らかい敵には効果抜群ね。
さらに固い敵にはやっぱりジャンプ攻撃とかの竜騎士スキルよね。これがまた半端ないのよ。S級のスキルになると範囲攻撃が光りそうね。敵陣にジャンプして上空から天罰。あるいは薙ぎ払いでこう…ズバシュッと敵がぶっ飛びそうね。
そして職業を活かした魔法と複合したスキル。これがまた魅力的よね~。基本は属性を付与して敵に投げる。物理魔法複合属性は魔法防御が高くても属性に弱いとか特殊な敵にも効果ありそうね。S級のスキルになれば上空からライトニングランスが雨のように降り注ぐってね☆。
あとはドラゴンを召喚したり、魔法の箒みたいに使える槍スキルとか開発できないかな~。あとよくありがちなHPやMPを吸収できる槍スキルとかね。魔法騎士ならではの汎用性が高いスキルが使えそうね。
そしてあと槍スキルといえば派手なグラフィックが魅力的かも。RPGだと戦闘力よりもモチベーションの方が大事なことも多いからね。強さよりもグラフィックのかっこよさでスキルを選ぶのも大事だよね~。
さて、魔法騎士のロールプレイはこんなところかな」
スピカ「ふーん、メアリにしてはまともな文章とセリフ量じゃない?」
レグルス「おつかれ。十分多い気がするけど笑」
「ふぅ…長々とごめんねー。ご静聴ありがと。それじゃ、3人とも育成の方針は決まったみたいだし、オパール町東か森辺りでレべリングをしよっか」
「おっけー♪」
メアリ達はレべリングを開始した。