天界の妖精と魔王の情報
5.天界の妖精と魔王の情報
三人は古代の遺跡で休んでいた。夜の間は一定時間魔物が寄りつかなくなるアイテムを使用している。特殊な魔物や自然災害、ダンジョンなど構造物内では無効だ。
レべリング3日目の朝、いつものように狩りの準備をしていると西の森から大声が聞こえてきた。
???「そこの旅の人ら~!」
メアリ「ん?」
???「早く逃げて!!」
すると小さな妖精がこちらに向かって走ってきた。更にそれを追いかけるように森から巨大なお化けキノコが出現したのだ。メアリは興奮した様子で声を上げた。
「こりゃあボスイベだわ(確信)。ここで逃げる選択肢はないよね!」
「よし、とりあえず最初は任せろ」
と門番父さんが前に出ると、お化けキノコに向かって盾を構えて突進した。
ゴッ!
「至近分析!」
『ふむふむ。大まかな魔物の情報は理解した』
「レグルス、メアリちゃん、あとは君たちだけで倒せそうだぞ!」
門番父さんはお化けキノコに槍を突き刺し、槍先から衝撃波を放った反動でメアリたちの後ろに下がった。
メアリ「レグルス、行くよ!」
「合点!」
レグルスはニードルガンを撃ち込んだ。
「!…あいつに毒や麻痺は効かない」
「なら、ごり押すまでよ!」
メアリは剣に炎を纏わせ地面を叩いた。火の刃が飛んでいき、お化けキノコに命中。直線上の草原が炎上し、相手が距離を詰めるまでにダメージを与え続け、無事に倒すことができた。
メアリ「やったー!楽勝ー」
レグルスとハイタッチ。しかし、メアリの放った一撃で草原が燃えている。
「メアリ!火!火!」
「おっとやべー」
メアリは水魔法で消火を試みた。火は消火というより消滅する感じで消えた。そしてメアリはお化けキノコから逃げていた妖精にあえて無言で近寄った。
かわいらしい妖精は何かを言いたそうな表情でメアリの方を見つめながらモジモジしている。蝶のような外見をしていて背丈は150cmくらいだ。4枚の大きな羽根をパタパタさせている。
???「……べ、別に助けて貰ってうれしいなんて思ってないんだからね!」
メアリ「なでなで」
???「ッ?!~~~~//」
メアリ「あなたのお名前は~?」
???「わ、わたしはスピカ」
メアリ「よろしくね~スピカちゃん(´▽`*)」
スピカ「これでも1230歳よ。あんた達よりずっと偉いんだから」
レグルス「それでスピカはどうして魔物に追われていたの?」
「うん。あのねー、天界の天使長様から魔王が動き始めたみたいだから地上への伝達と様子を調べに行くように頼まれたんだ。そしたらいつもは安全なはずの森に降りたのに、さっきのように魔物が凶暴になっていたんだよ~」
レグルス「なるほどねー」
門番父さん『スピカちゃんもかわいいなぁ//』
「それじゃレグルス、私は先に村に戻るよ。魔王の件は村に伝えておくから、そっちはそっちで魔王討伐を目標にするのも良いだろう。では失礼」
門番父さんがパーティから抜けた。
メアリ「スピカちゃんは妖精さんだよね。妖精はみんな天界が出身なの?」
「そうとは限らないわ。妖精は地上界や地獄界にもいるわよ」
メアリ「へーそうなんだ」
レグルス「魔王が動き出したって具体的には何が起きるの?」
「んっとねー、天使長様が言うには最近この3界でロールプレイヤーの力が強まったんだって。それで均衡を維持するために魔王自身もロールプレイに特化するようになっちゃったんだって」
レグルス「なるほどね。確かにそれは説得力があるわね」
メアリ「よし、とりあえずその魔王とやらを倒すことを目標にするかー」
レグルス「おっけ~よ。私はずっとメアリに付いて行くと決めたから」
スピカ「わたしは怖いのやだから帰るぅ~」
……ガシッ。っとメアリがスピカの腕を掴み、ニコッと笑ってこう言った。
「スピカちゃ~ん、迷子になっちゃいまちゅよ~、私とはぐれないで~」
「離して!このヘンタイ!」
メアリとスピカはしばらく追いかけっこをした。
「あ~もうわかったわよ!一緒についていけばいいんでしょ~。この愛らしい妖精が手助けしてあげるんだから感謝しなさい♪」
メアリ「えっ?私たちを手助けしてくれるの~??」
「ふぇ?//」
メアリ「やった~!うれしい~!」
スピカ「ま、まぁどうせ一緒に冒険するなら楽しくプレイしましょ。じゃないと承知しないんだから」
レグルス「話はまとまったようね。それじゃとりあえず西の森を抜けるわよ」
メアリ「お~♪」