草原エリアを往く
4.草原エリアを往く
メアリ (魔法剣士)
レグルス (錬金術師)
門番父さん(ガード)
この三人での旅。メアリはあんまり見慣れないパーティだなぁと感じていたが、この世界ではそんなに違和感があるわけではない。とレグルスは言う。なぜならこの世界ではいわゆるNPCのような者はおらず、全員が広い意味で冒険者である。という考え方が根付いているからであるらしい。
以前メアリが村に逃げ込む時に障害となっていたコボルトも門番父さんが前衛で槍の長いリーチでサックサックと倒していく。
メアリ「むっふっふっふ~……パワーレべリングなんじゃあ~。でも自分で狩ったほうが達成感あるよね。やっぱ」
レグルス「うん。それはよく分かるわね~」
そんな会話を中央前衛を務めている門番父さんが聞きながら
『娘と仲良さそうに会話してる光景は微笑ましいなぁ//』
『これが両手に花ってやつよ。いや百合かなー』
『かわいい女の子に挟まれたパーティとか父さんもっと頑張っちゃうぞい』
などとテンションを上げていく父さんであった。
しばらく進むと草原の中に大きな石が点々としているエリアが見えてきた。
メアリ「あそこで休憩しよっかー」
レグルス「おっけー」
「うむ。そうしよう。ここは古代の遺跡の跡地だ。いい場所だよな」
辺り一面の草原の上に白く巨大な柱や岩が散らばった光景が広がっていた。空の青さと相まって自然と人工物のギャップ、そして色のコントラストが美しく映えて絶景になっている。
メアリは横倒しになっている石柱に腰掛けてつぶやいた。
「ところで冒険中の食糧ってどうするのー?」
「まずはアイテムインベントリをみてごらん。念じれば出てくるから」
「うわっ、マジだ。信じる力万能すぎぃ」
「さっきキャラクターステータス関連の説明の時、けっこうあいまいな説明をしちゃったけど、実は大抵のシステムはメアリ自身が使いやすいように改変することができるわ」
「ふむふむ。でも今はレグルスから貰った木刀と敵を狩ったときに増えたお金しか無いねー」
「そっか。もし食糧があればそこからいつでも出せるよ。でも普通は長い間敵を狩るときや冒険してるときは大量の食糧を持ち歩くことは出来ないのよ。でも持てる量を増やせるステータスを追加するとかはできるわ。あと馬車とか特別なスキルとか使えば問題ないわよ。」
「ふーん。システムの改変かぁ……自由度がかなり高そうだけど、身の丈に合ったロールプレイの方が面白そうだからなぁ……」
「んじゃメアリにちょっと難しい質問するけど、身の丈に合ったロールプレイで長時間の冒険のときの食糧問題はどうやって解決すればいいと思う?」
「うーん……どうすればいいんだろ笑。これは難問かも」
「うふふ…。これはあくまでも一つの例に過ぎないんだけど、例えば次のようにすればいいのよ」
とレグルスは得意げに説明を続けた。
「所持金欄の隣に食糧Pというパラメータを作っちゃって、敵討伐時に入手するようにするのよ。そしてそれを一定量消費して錬金すればいい。あと“錬金レベル”みたいなのも別で作っちゃって、レベルを上げるほど同じ食べ物でも作るために必要な食糧Pが減るようなシステムにすればやりがいがあるかもね。
もっと言うとさ、討伐した敵に応じて入手Pが変わるようにしたり、レシピみたいなアイテムを使って初めてそれが錬金できるようなシステムにすると、更にリアリティが増すわよ。ゾンビとか討伐するとむしろ食糧Pが減るとかね笑」
「ほほ~!その発想は無かった。面白いね」
「もちろん亜空間から食糧とか召喚しちゃうのもいいんだけどねー。まあ今回の休憩は私が自慢の錬金でごちそうを作っちゃる!」
「ありがとう!」
レグルスは厨房と食材を召喚し、30秒くらいで食事の準備を完成させた。
メアリ「おお~!さすが錬金術師だよ~。感動した」
「さらに腕を上げたな。レグルス」
「当然よ♪」
メアリ「ごちそうさま!」
メアリは食べ終わると今後の行動についてこう言った。
「さて、今後だけどしばらくこの三人でここを拠点にして私のレベル上げに付き合ってくれる?」
レグルス「もっちろん」
「うむ。もちろん構わないが、私は3日間くらいしたら帰ることにするよ。村のみんなに心配かけちゃうからね」
「おお~衛兵の鑑ですねー。がんばってください!」
「うむ」
メアリたちは順調に経験値を稼いだ。種族Lv12、魔法剣士がLv14になり、いくつかのスキルを仕上げた。
そして3日目の朝……メアリ達が目を覚ました頃、西方の森から可愛らしい妖精が走ってきた。