地下界を探険する
メアリたちは宝橙平原というちょうど地下界の中心部を歩いていた。オレンジ色の地面が広がっていて美しい場所である。
メアリ「まるで別の惑星に来ちゃったみたいだね~」
レグルス「そうだね。敵も弱めだから風景を楽しむ余裕があるわね」
スピカ「地獄界に続く闇の大穴はこっちみたいよ」
スピカが前衛で敵の攻撃を引き受けながら二人を誘導していく。パラディンのスキルで二人の被ダメージの80%ほどを肩代わりしている。わずかな時間であれば全員を100%かばうこともできる。
メアリ達は難無く闇の大穴に到着した。
メアリ「さて、ここからが本番ね。鬼が出るか蛇が出るか」
最初に出現したのは堕天使とガーゴイルとヴァンパイア。ドワーフ王の情報の通りそれほど強くなかったが、全体的に攻撃が早く、堕天使が使用してきたエネルギー兵器の火力が高かった。
スピカ「あ~…怖かった」
メアリ「う~ん…もうちょっと奥まで行ってみよっか」
スピカ「に、逃げる準備をしなさいよ…」
少し奥に進んで行くメアリたち。そして次に現れたのは…
機械大蛇「やあ」
呪いの魔剣「浮遊&透過するんゴ」
タナトス「即死魔法とかいかが?」
三人はすぐに逃走して闇の大穴から出た。
「ハァハァ……大体あいつのせい」
メアリ「レグルスぅ~即死対策ってできるの?」
「即死耐性は上げにくいのよ。復活させるアイテムは一応作れるけどね」
睡眠、麻痺、毒程度の異常はステータス調整と一定時間耐性を上げる薬で間に合うが、即死耐性は被回復量と引き換えになる上、割に合わないらしい。
レグルス「基本戦術は集中砲火して即死使われる前に倒すことね」
スピカ「今のこのパーティじゃ火力が乏しそうね」
メアリ達はひとまず地獄界は諦めて雷の迷宮に向かうことにした。
メアリ「あそこに入口が見えてきたよー」
入り口には“ようこそサンダーラビリンスへ”と派手な看板がアーチ状の入り口の上に設置されており、電灯で装飾されていた。
レグルス「うーん……完全に観光地ね。噂には聞いていたけど」
メアリ「遊園地じゃん!スピカちゃん、ジェットコースターと観覧車あるよ!乗りに行こ~~!!」
スピカ「ちょ、自分で走れるってば~//」
遊園地の上空には魔法で作ったと思われる擬似的な青空が広がっていた。三人は一通り遊園地を遊び尽くすと最後に観覧車に乗り込んだ。
メアリ「地下界にこんな場所があったなんて驚いたよ~」
スピカ「大体の施設はドワーフの技術が使われてるらしいわよ。乗り物の設置場所とかは定期的に変えて、リピート客も飽きさせない工夫がされてるっぽいね」
観覧車の高度が上がってくるとレグルスが言った。
「あそこが今夜泊る宿屋ね。温泉もあるみたいだからあとで行きましょ。そしてあそこが地下界のメインダンジョン、サンダーラビリンスの入口ね」
メアリ「今回は初めてのオーブダンジョンだし、最初にレグルスのソロ偵察をして来て貰ってもいいかな?」
「いいわよ。私もそのつもりだったし、メアリとスピカはここでのんびり観光してなさいよ。脱出アイテムも使いながらソロで潜るから情報収集にはちょっと時間かかるかもしれないけどね」
メアリ「おっけー、分割シナリオだね!これぞRPGの真骨頂!」
三人は観覧車を降りて遊園地の宿泊施設に向かった。中はリゾートホテルのようになっており、夕食バイキングが広い部屋で開催されている。
スピカ「わあ~とても豪華な所じゃない!」
メアリ「その分、宿泊代は高めだけどね」
火山で長い間狩りをしていたおかげで所持金には余裕があった。そして三人はいつものように温泉に浸かっているとメアリが言った。
「ところでレグルスは明日のソロでダンジョンに挑む際はどんな準備をして挑むつもりなの?」
「基本的には索敵能力を高めて、遠距離武器で攻撃していくのよ。あとはマッピングに集中するだけね。あと今回は雷耐性を高めておけば十分だと思うわ」
「そっか。それじゃあ期待してるよ♪」
翌日、サンダーラビリンスの入口で三人は二手に分かれて行動する。
「それじゃまた夕方頃にここで待ち合わせね」
そしてレグルスは一人サンダーラビリンスへと潜っていった。レグルスは少し淋しげな、普段はあまり見せない表情を浮かべていたが、メアリ達が気に止める事は無かった…。