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『TLS第三話』  作者: 黒田純能介
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奪取


キョロキョロ。


照明のほとんど無い、薄暗い廊下を浅野は進んでいた。



…変だな。人一人見当たらない…。



そのまま進んで行くと、一枚の扉。そっと手を掛ける。


ガチャ。キィィー…。


慎重に開け、中を確認する。……やはり誰も居ない。


素早く内部に忍び込み、後ろ手で扉を閉める。


…どうやら研究室の様であった。数台のパソコンが並び、その他にビーカーやフラスコといった器具も置かれている。



…そうだ。何か重要なデータがあるかも…。



一台のパソコンに近寄ると、スイッチを入れ起動させる。


「……色々データがあるな…」


浅野は呟くと、懐からフラッシュメモリを取り出した。本体に挿入する。


「どうせだから全部持っていくか…」


素早くキーボードに指を走らせる。


カタカタカタ。カタ。


『Now downlording』


幾つかのパスワード要求をされるが、浅野にはお手の物だった。次々とデータが取得されていく。


ピコン。


電子音と共に作業が完了する。ボタンを押し、メモリを取り出す。


「よし!これを持って帰れば…!」


その時だった。


「それを渡す訳にはいかんなぁ」


突如上がった声に、思わず身構える。


「誰だっ」


カツ、カツ、カツ…。


物陰から姿を現したのは、サングラスを掛けた大男。不意に浅野の脳裏に、かつて見た事のある資料が浮かぶ。



……一条……?よく似ているが違う。分かる事は敵であるという事……!



「さあ、それを寄越せ」


男がにじり寄る。浅野は状況の不利を悟った。


「ちいっ!」


一直線に扉へと駆ける!


バァンッ!


扉を跳ね開け、廊下に躍り出ると一目散に駆ける。


研究室には、未だサングラスの男が佇んでいる。


ふと、モニターを覗きこむ。


「ほう…。このプロテクトを破るとは。やるではないか…。フッフッフ」


不敵な笑みを残し、サングラスの男は浅野の後を追っていった。


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