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『TLS第三話』  作者: 黒田純能介
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謎、そして調査


今施設内には、如月と梶浦の二人が残されている。


布津さんに俺も付いていきます、とだけ残し、浅野もその場を後にしていた。


「なぁ…何であんな事言ったんだよ?」


梶浦が如月を見つめる。しばらく押し黙っていたが、やがて口を開く。


「あいつは、人間じゃない。人の皮を被った悪魔だ」


「???」


梶浦は要領を得ない様子で首を傾げる。…だがやがて、分からないなりの言葉を口にした。


「何があったかは知らないけどさ、あの人は仲間なんだぜ?現にこの地区を守ってくれてたんだろ?だったら少し位信用したって良いんじゃないか?」


梶浦は如月の目を真直ぐ見据え、締めくくる。如月はやがて目を反らすと、観念したように言った。


「分かった…。もう殺すとは言わない」


その言葉に、梶浦は満面の笑みを浮かべたのだった。




―――一方、布津と浅野は―――



カン、カン、カン。


鉄の階段を、二人は登っていた。布津がアキラの殺された現場を見たいと言ったのだ。


「この辺りです。アキラは俯せに倒れていて、後頭部に銃創がありました。また、調査の結果、後頭部に発砲時に付いたと思われる火傷の痕がありました」


「……ゼロ距離、か…」


呟きながら、かつて闘った男、神崎を思い出す。



…確かあの男の死体が出た時も、同じ死因だった筈…。



「布津さん?どうかしました?」


浅野の声に、我に返る。


「いや……何でも無い」


ふと辺りを見回す。他に手掛かりになりそうなものは見当たらなかった。


「他には何も無さそうだな…」


「ええ。アキラの身体から摘出された弾丸も、何処製か判別出来ませんでした」


浅野が更に続ける。


「しかし、アキラだってCROWの一員です。こんなにあっさり殺られるなんて…。巡回ルートからしても独自のものがあって、待ち伏せするにも容易では無い筈です」


布津が腕を組む。少しの思案の後、考えを口にする。


「スパイの可能性があるな。お前達と同じ様に学園に潜り込んでいるか、或いはー」


「ハハッ!まさか」


その先に言わんとしている事に気付いたのか、浅野が遮る。


…つまり、『CROW』内部にスパイがいるという事。


「あくまでも可能性の問題だ」


布津は取り繕うと、元来た道を戻り始めた。


「………」


浅野は納得いかない表情のまま、布津の後に続いていった。


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