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『TLS第三話』  作者: 黒田純能介
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再び立つ者と、確執


コンコン。ガチャッ。


ノックをし、扉を開ける。その先には如月と梶浦の姿があった。


「お疲れ様です」


「よう」


「…あぁ」


短い挨拶を受け、浅野は早速切り出した。


「伝令、届いてましたよ」


浅野はポケットから封筒を取り出す。


「読んでくれ」


如月が気怠そうに言うと、浅野が封を切った。


「じゃあ読みますね。…『アキラ君の件は残念だった。今後また敵の攻撃が予想されるだろう。警戒は怠らぬ様に。尚、そちらに補充人員を寄越す。かつてそちらの支部にいた男だ。十分役に立ってくれる筈。彼と協力し、敵を撃退してくれ。以上』」


「待ちの戦法、か…」


梶浦がボソリと言う。


「…手緩い。こちらから撃って出るという事は考えんのか」


「物騒な事言うなよ。せめて補充人員が来てからだろ?」


「……フン」


如月はそのまま押し黙る。


「あーっと。じゃ、俺また見回り行ってきますね」


「おぅ。頼むぜ」


梶浦が右手を挙げて応えると、浅野は扉を開けて出ていった。




フオオォォン…


一台のバイクが、夜の闇を駆け抜けていく。



……まさかまた、あの地へ戻る事になろうとはな……。



布津はハイウェイを降りると、懐かしい道を辿り始めた。




--------------------------------------------------------------------------------




一夜明け、今や懐かしくも感じられる学園に到着。


駐輪場にバイクを停め、降り立つ。



…変わっていないな……。


物思いに耽った時だった。


「布津さん…ですね」


自分を呼ぶ声に振り返る。そこには一人の青年。浅野だった。


「初めまして。『CROW』西東京支部、浅野と言います。宜しくお願いします」


浅野がゆっくりと一礼をする。


「布津、純能介だ。宜しく頼む。……早速だが、案内して貰えるか?」


「はい。ではこちらへ」


先に歩き出した浅野の後に続き、布津も歩き出した。



数分後。学園内の施設前に二人の姿があった。


「ここです。では入りましょう」


「あぁ」


浅野がノックをし、扉を開ける。


「失礼します~。補充人員の方をお連れしました~」


浅野が通路を開け、布津を招き入れる。


そこには男女二人が立っていた。背の高い青年と、やや背の低い女性。


「初めまして。梶浦と言います」


言いながら梶浦が手を差し出す。


握手を交わした所で、突き刺さる様な視線を感じ、梶浦の後方に目をやる。


さっきの女性である。今や視線は殺気の様なモノも孕んでいた。


いつまでも喋ろうとしない如月を訝しみ、梶浦が口を開いた。


「えっと、こっちが…」


「言う必要は無い」


如月が梶浦を制止する。


「あ、如月さんで~す!」


不穏な空気を感じ取ったのか、浅野が無理矢理明るい声で言う。もり立てるかの様に手をひらひらさせている。


殺気の籠った視線が、今度は浅野に向けられる。


「浅野……後で締め上げてやる…」


「ご、ゴメンナサイ…」


浅野が後ずさるのを見て、如月は布津に視線を戻す。


「……良く覚えておけ。少しでも妙な動きをしたら」


如月が側にあった杖を掴み、布津に向ける。


「お前を、殺す」


梶浦と浅野が目を剥く。しかし布津は一人、涼しげな顔をしている。


「俺が、怖いか?」


布津はニヒルな笑みを浮かべるとそう言った。


「やはり今殺してやる!」


飛び掛かろうとする如月を梶浦と浅野が押さえる。


「「まぁまぁまぁ!」」


「…ハァ…どうしてこの人はこんななんだ…」


暴れる如月を宥めてから、浅野は一人ごちる。


そのやり取りを眺めてから、布津が背を向けた。


「あれ?何処か行くんですか?」


怪訝に思った浅野が声を掛ける。


「早速見回りにな。それに」


布津は如月を一瞥する。


「そのお嬢さんは、俺の事が嫌いらしいしな」


「チッ…」


その言葉に、如月が舌打ちをする。


それを知ってか知らずか、布津はその場を後にした。



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