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『TLS第三話』  作者: 黒田純能介
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動き出す歯車


都内、某学園。


その一角の施設内に、一人の女性の姿があった。


「………」


耳にはイヤホン。音漏れが激しい事から、大音量で音楽を聞いているのだろう。


その為、誰かが入ってきたのもすぐには気付かなかった。


「おいっ」


コツン。


脳天に拳。顔を上げる。すぐ側に男の顔があった。


「まぁた大音量で聞いてたのかよ。鼓膜イカれるぜ?如月」


如月と呼ばれた女がイヤホンを取る。


「自由な時間位好きにさせてくれ」


如月は目の前の男を睨む。男は苦笑いし、


「タハハ…そんな睨むなよ。恐いぞ~」


「性分だ。それより梶浦」


「ん?」


男、梶浦は眉を上げる。


「見回りはもう終わったのか?」


「ああ。アキラと一緒だったからな。俺は一号棟側、アイツには九号棟側に行ってもらってる」


「そうか…。少し時間が掛かっているようだな」


そう、如月が呟いた時だった。


バァンッ!


勢い良く扉が開く。入ってきたのは一人の青年。


「たっ、大変です!」


その様子を見て、何か起きた事を悟る。


「どうしたんだよ?浅野」


浅野と呼ばれた青年は息を切らしながら続ける。


「ハァ…ハァ…じ、実は」


浅野は一呼吸置く。


「……アキラが、殺されました…」


二人が目を見開く。


「何だって…?」


「アキラ程の使い手が?本当か?」


「間違いありません。あれは確かにアキラでした…」


如月は立ち上がると浅野に詰め寄る。


「何処だ」


「……八号棟、最上階です。でももう遺体は搬送済みです…」


浅野の胸倉を掴んでいた手が緩む。


「………」


如月は手を放すと、壁に立て掛けてあった白木の杖を掴む。


「如月?何処に行くんだよ?」


それまで一部始終を見ていた梶浦が問うた。


「見回りに出る」


短く告げると、如月は部屋を出ていった。


後に残された二人は、如月を見送るしか無かった。



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