経過記録
今回の結果は、最悪な物だった…。
アキラの死に始まり、梶浦が、スパイだった事。
そして最大の失敗が、あの男が連れ去られてしまった事…。
私が浅野と合流し施設に向かった時には、もう既に浅野が交戦した者と共に、あの男の姿は無かった。
…唯一の成果は、浅野が入手したデータだ。これがどこまで役に立つか分からないが…。
今はそれに縋るしかない、か…。
如月はレコーダーのスイッチを切ると、マイクロメモリーを取り出す。
「暗いっすね。経過記録」
「こんな記録、明るく言えるか」
「デスヨネ~」
浅野は大仰に頷く。それから、思い出した様に切り出す。
「あ、そう言えば伝令、届いてましたよ」
懐から封筒を取り出す。
「読みますね。……『今回の任務、ご苦労だった。布津君の件に関しては現在調査している。所在が掴め次第、直ぐに救出に向かってくれ。尚、特別処置として浅野君を正式メンバーに編入する。以上』」
指令を閉じてから、浅野の動きが止まる。
「ん?……正式?……やった!これでボーナス貰えるじゃん!」
ワーイワーイと喜ぶ浅野を尻目に、如月は思考を巡らせていた。
…どいつもこいつも、そんなに力が欲しいのか……。
皮肉なものだな。なあ?
純能介よ……。