女の闘い
放たれた弾丸が迫り来るこの状況で、如月は冷静だった。
梶浦が、スパイだったとは。…迂闊だった。
…だが、このままでは済まさん!
ガギィィン……!
目の前で起きた事に、鳴神はしばらく理解が持てなかった。
カンッ。コロコロコロ…。
一閃。その一撃で如月は弾丸を叩き落としていた。
「…そんなもので私が殺せると思うな…」
鳴神はやっと状況を理解する。
「…フ、フフフ…。良いわぁ…。まさかそんな芸当が出来るなんてね」
銃を懐へと戻す。
「久し振りに楽しい思いができそうね…。行くわよ!」
鳴神が飛び上がった。直後、流星の様な蹴りが襲いかかる!
「ちいっ!」
如月は後方に飛びずさる。そのまま構えを―――
「!?」
既に眼前へ、鳴神が迫っていた。薙払う手刀が襲いかかる!
「くっ!」
咄嗟に杖を突き出したが、反応が遅かった。防御の体勢が出来ていない白木の杖は、あっさりと弾かれ如月の手を離れる。
ヒュン!更に追撃。如月は身を伏せて躱すと足払いを掛ける!…しかし当たらない。
鳴神は再び飛び上がってそれを躱すと、懐から苦無を二本取り出す。
ヒュン!ヒュン!
息をつかせぬ連撃。如月は躱すのに精一杯である。
ヒュン!
最後の一撃を躱すと、大きく後方に飛び上がった。
「……」
丁度側に転がっていた杖を拾い上げる。
「ハァッ!」
一気に距離を詰め、薙払いから振り下ろし。鳴神は薙払いを半歩引いて躱すと、苦無二本で杖を受け止めた。
ギリ、ギリギリギリ。
如月は更に力を込める。
「……なかなか良い筋しているわね」
「でもガードがガラ空きよっ!」
瞬間、鳴神が身体を捻る。杖の軌道を反らし―――
ドカッッ!体勢の崩れた如月の溝落ちに鋭い蹴りを浴びせる。
「がっっ!?」
華奢な身体が宙に舞う。
ズザザザッ…!
如月は背中を激しく擦られながらも、足に力を込め立ち上がる。
……強い……。本気でいかねば殺られる…。
スッ、と構えを正眼に変える。
鳴神はそれを見ると、楽しくなってきた、と言わんばかりに口元を歪めた。
まだ、闘いは終わらない…。




