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"二番手"少女の小さな願い  作者: 深闇 孤独
3/6

"二番手"少女の小さな願い 3話

****


また、いつものように私は、怒られるのだ。


「……美咲。後で少し、いいかしら?」


そっと先生が笑う。はい、と静かに答えれば、周りがざわめいた。先生が1対1で話すことなんて、ないのだから。


はぁ、とため息をつく。また怒られるのだ。もうすっかり自信を無くしてしまった。


やがて個人練習の時間となる。


「美咲。大丈夫?」


「……先生、私続けていく自信が無いです。どうしたら、いいんでしょう。」


ずっと心に溜めていた思いが、一気にあふれだす。


「私は、いつまで"二番手"なんですか? 何が、負けているんですか?」


これは、先生にずっと聞きたかったこと。


「私だって、ずっと努力してきたはずなのに……どうしてあの子に、陽に勝てないんですか?」


先生は黙って、目を瞑っている。


「先生、教えてください! 私には無くて、あの子にあるものって、いったいなんですか!? わかっているんでしょう!?」


……なにも言ってくれない。


「先生……」


「今度、ダンスコンテストがあったわよね。誰と出るつもり?」


「百合奈と2人で出るつもりですけど…」


「なら、百合奈と陽の3人で出なさい。その時にソロを踊るのは、美咲貴方よ。」


「……いや、何言ってるんですか先生。私なんかが……」


「それなのよ、美咲。そうやって貴方は、いつも無意識に1位を譲ってたのよ。」


「……」


「本気で勝ちたいなら、ここに賭けなさい。もしそれで個人成績が2位だったら、先生はなにも言わないから。」


できるわよ、と先生はウィンクして部屋を出ていった。


「……チャンスを……掴む」


……賭けてみよう、そして、超えてやろう。


先生の言葉が、私の心を変えたのは言うまでもなかった。


その日から、私は明らかに目に見えて変わった。


……いや、普段となにもやってることは変わらない。だけど周りからは「変わった」と言われるようになった。


それに負けず劣らず陽も、磨きを掛けている。百合奈は……まあいつもの通りそこそこに頑張っている。


私は誰にも負けない。絶対に、このチャンスを掴んでみせる。

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