作戦名”籠” ①
日本海軍の現在の艦艇は全て、空母、艦隊を守るという守勢主義であり
駆逐艦といった艦種は存在せず、護衛艦である。
全長200m未満が護衛艦、280m未満かつ、排水量100000t未満が大型護衛艦。
弩級護衛艦は280m以上、100000t以上の排水量を有する護衛艦につけられる。
地方によって所有弩級護衛艦の数、大きさは違うが規格は全て統一されており、総軍単位、国家単位で
命令を受けた際の規格違いによる混乱を防いでいる。
そして、北海道の主である”くしろ級弩級護衛艦”は全長320m、排水量297000t。
主砲は実弾、電磁加速砲を撃つことのできる40cm弾倉式連装砲である、
2秒に一発撃つことができ、弾速は電子励起爆薬により実弾でもマッハ24で発射する。
回転弾倉式であり、1マガジン8発を撃ちきると砲身冷却と装填に1分ほどかかるのが
本艦の弱点でもある。
CIWS等の防御兵器は両舷に合計24基、30mmレーザー×90基を搭載する。
ゲテム・イージスシステムⅧ型を搭載し、3.5次元正方探知対潜レーダーⅤ型で
死角を潰している。HPGA(高威力地対空ミサイル)発射管50基、HMSA(高機動地対空ミサイル)
発射管50基を装備し、SSE(艦対艦炸裂ミサイル)垂直発射管を前後に30基ずつ
合計60基を装備している。
ステルス性能は護衛艦より2%程低くなっているが、外観はステルス性能を一切意識しておらず
素材のみでのステルス化では、この数値はかなり良い数値である。
速力は空母に追従するため40knotであり、機関は”金属ヘリウム炉”。
電子励起爆薬のエネルギーを利用して推進する機関であり、従来の原子力機関よりも
出力が大きい。最大速力までの到達時間も空母より短いが、爆発によってエネルギーを
得るので、機関の信頼性は劣る。
「さて、打撃艦隊とも合流しました。
目標進路は択捉島。北緯45度, 東経148度にて艦隊を移動させてください。」
「了解、進路北緯45度, 東経148度。」
進路を復唱し、船を進める航海士。
「択捉島の頭を押さえるんですか。兵糧攻めの構えですね。」
艦長が航海士と共に地図を覗き込む。
「そうですね。ですが、択捉島には艦砲射撃を行いますよ。」
周囲はこの一言に凍り付く。
それもそのはず。武力行使となれば相手国が全面戦争を仕掛けてくる可能性もある。
そして相手はソ連級の大国。ただでは済まない、と思っているようである。
「我々の目的は二つ。一つは四島の奪還。
二つ目は、オホーツク海を制圧し樺太、千島列島を我が領土とすることです。」
「四島のみならず千島、樺太も制圧ですか。
ロシアとの全面戦争もこれまた、面白そうですな。」
「今回の作戦でのロシアの動向次第で決まる。
大人しく、北方四島から手を引けば作戦はこの”籠”の段階で終了。
手を引かないのであれば...」
「千島、サハリンのロシア人は流血を見る間もなく蒸発するでしょうね。」
択捉島まで、7時間25分...