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暁の帝国~現世大転移編~   作者: アイオワ
7/11

強大な北海道

~北海道 札幌市~


気温はゼロ度を下回り、街は雪が積もっている。

巨大なビル群の集中する札幌市は人口882万人の地方首都である。

その一角に白く雪を被った西洋風のガラス張りの建物。

外気とは真逆に、熱い会話が行われていた。


「おい。阿賀野は何と言ったか?」

あさひ 佐五郎さごろうは噛みつくように喋る。


「『早まることはするな』、と。」

秘書官は淡々と答える。


「北海道統制軍司令官としての意見ですからね。通ると思いましたが

まさか”否決”されるとは。」

領国りょうごく 幸正ゆきまさ北方艦隊司令長官が苦笑う。

内心は出撃したいようであるが、否決されてしまったのであれば戦時内閣が立ち上がるまで

待たなくてはならない。


「平和ボケしおって。東の方で観艦式をやってると聞いてテレビを見ていたら

ロシアとかいう国に歯舞、色丹、国後、択捉を取られただと?

立派な侵略行為ではないか。噂に聞けば天候なんとかが暴走して

敗戦国の世界に来た、と聞いたがどういう事だ。」


「正確な情報はまだ来ていませんが、諜報部は既に転移する前の日本の状況は

粗方調べられているそうですよ。」

そういうと、ノートパソコンを机に置き、開く。


「前・日本の外交はどうやら譲歩外交ばかりで周辺国の一部から金蔓にされていたようです。

曲がった歴史を押し付けられても突き返す事ができず、外務省も骨抜き状態ですね。」


「前・日本などどうでもいい。周辺状況を教えてくれ。」

頭を掻くと、領国は地図を映す。

赤いマークが仮想敵国である。


「中華人民共和国、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、ロシア、周辺国だけでも

かなり多いです。」


「ロシアはソビエトより小さいな。いくつか独立でもしたのか?」


「この世界では共産主義は破綻しているようですよ。」

少し驚いた素振りを見せたが、話題はロシアに移る。


「それで、北方四島はどうして盗られている。」


「不法占拠ですよ。簡単に言えば。」


「泥棒は世界の警察が追い出す。どこに非正当性があるのか。私には理解できん。

だが、敵の戦力は把握できているのか?」


「行動できる艦隊には空母は存在しません。

戦闘機の性能でも二世代ほど差があります。

陸上戦力はこの際、どうでもいいでしょう。孤島に10個師団なんて海上封鎖すれば運べませんからね。」


「うむ。宜しい。だが・・・」

含み笑いをする佐五郎。


「あくまでも、領海警備行動だ。わかったな?」


「無論です。地方戦時法の領土侵犯罪で追い出す。

追い出す方法としては、兵糧攻めですかね?」


「構わん。責任は私がとる。」


「ありがとうございます。」

口をゆがめ、部屋を出ようとする幸正を呼び止める。


「そうだ、ついでに”くしろ級弩級護衛艦”も連れていけ。」


「それは構いませんが、どうしてです?空母”じんりゅう”でもパフォーマンスは十分でしょう?」


「兵糧攻めには原子力補給艦も必要だろう?艦隊に弱点は必要ないぞ。」


「はっ、了解しました!」

上機嫌で出ていく幸正を見送る佐五郎は置かれたノートパソコンに目を通すのであった。

そして、愛国心に火が付いたのか。

翌日には東京へと飛び立った。


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