気象の脅威
モニターが一斉に赤に染まる。
虚ろな気分からの突然のレッドスクリーン。
脳内はたちまち混乱に変わった。
他の監視員も何事かと各自連絡を取り始めた。
「東京湾から30キロの洋上で
米第七艦隊をロスト!」
「強力な妨害電波、またはそれに似た電波により無線通信機器郡は壊滅!」
有線出力可能なモニターの映像が出力される。
「───一体何が起こってるんだ...」
・・・・・・
阿賀野はマイクの前に立つ。
一斉に拍手が起こり鳴り止むまで手を振る。
「『今日は、天候に恵ま・・・』れ。
おい、マイクの音量どうなっているんだ。」
後ろに立つ3人の補佐官に問う。
「マイクは問題ないです。」
「少々お待ちください。無線室と連絡を...
あれ、おかしい。繋がらない。」
必死に電話をかけるも圏外通知。
「総理!あ、あれを!」
指を指さずともわかる。
空を覆う垂れ幕の正体はオーロラである。
強力な地磁気変化によりオーロラの発現状況が揃ったのだろう。
そして、原因は一つしかない。
「おい、阿賀野!どうなっている!」
尾河が歩み寄る。
側近たちはオーロラより第一総軍司令官の威圧的な態度の方に驚く。
阿賀野は黙ったままである。
「まさか、天照を使ったのか?」
表情に動きが見えた。
「まあいい。だが、これが何を引き起こすのかは分からないんだろう?」
「...そうだ。」
「博打は暫くやめてもらった方がよさそうだな!」
その直後、口元を歪ませる。
「いや、博打は打ってもらわなくてはな。」
「それは、どういう意味だ?」
「さあな。俺には可能性しか耳に入っていない。」
「そんな確率、あてにならんのだろう。
やはり気象に喧嘩を売るのは止めた方がよかったのか...」
フンッ、と鼻を鳴らす坂本。
いつの間にか後ろに立っていた。
「さて、どうなるかが楽しみだ。」