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暁の帝国~現世大転移編~   作者: アイオワ
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二重天井

2015年12月31日

寒空の下、東京都庁へ足を進める。

ブリーフバックを握る手の感覚が薄れている。

冴えない七光とよく言われる俺の名前は"東郷(とうごう) (あらた)"。

経歴は東京大学法学部を卒業し、24歳で外交官として

大東北守備軍外交部に配属された。

東北は静かで、守備軍外交部の仕事は少ない。

定期的に報告書をまとめる、デスクワークが大半を占めていた。

そのデスクワークですら二時間ほどで終わる。

俺自身、税金泥棒だろうという自覚がある。


だが、同期で北海道統制軍に配属された奴はあまりの多忙さに

連絡すらとれない。

そいつの多忙さを想像すればこの四年間は生ぬるすぎだろう。

その戒めなのか、関東軍外交部に転属となってしまった。


視線をやや下向きに過去を思考していたらいつの間にか東京都庁。

高さ338メートルのツインタワー。

しかし、そこまで高そうには思えない。

200mクラス、300越えのビルが建ち並ぶ東京に338メートルでは存在感などはあまりない。

これが仙台に建っていたら目立つだろう。


都庁に入り、真っ先に見えたのは巨大なエレベーター。

仙台にもあったのだが、関東にはそれを上回る巨大地下都市ジオフロントが広がっているらしい。

だが、用があるのは18階の外交部である。


「お、君が東郷君か?」

声をかけられ、とっさにその方向に視線を移す。

左腰辺りに軍刀を携帯している。

肝心の服装は海軍参謀大尉 二種軍衣に中国地方海軍の紋章...



ハッとする。

何故こんなところに海軍参謀がいるのだろうか、しかも関東に中国地方海軍の・・・。

しかも、用があるようなのは俺。


「君は18階に行く必要はない。行くのは―――」

人差し指を真下に向ける。

促されるまま、エレベーターに乗り込む。


「あのー、貴方のお名前を伺っても宜しいでしょうか。」


「私の名は”古賀正人こが まさと”だ。」

暫く沈黙。

その間に疑問なことが三つできた。

一つ、海軍大尉に案内されているという事。

普通では一切あり得ない。

二つ、エレベーターは上下にしか動かないはずなのだがこのエレベーター、

傾斜を下るように降りていく。

三つ、人が乗るにしては大きすぎる容積。

質問しようにも相手が海軍大尉、だが...


「何故、このエレベーターは傾斜を下るように降下しているのでしょうか。」

外交官、相手が誰であろうと譲歩を得るまでは粘る。

空気などに押しつぶされているようでは外交官ではない。


「これはエレベーターではないぞ。有事の際に使われる民間人避難用兼、装甲車運搬大型リフトだ。」

真顔で語る。

これで疑問にある程度納得できた。

民間人避難はおそらく後付けの理由だろう、最大の目的は装甲車の効率的な配備。

そして、エレベーターでは重量限界が低いためリフトにしたのだろう。

何せ、このエリアを管轄するのは首都防衛第一師団。

世界最強と言われる戦車と人員を要した12940人の一個師団。

アフリカの紛争を半年で終わらせられると言われている。

そして、一部砲弾ではダメージが与えられないと言われている百式-Ω決戦戦車。


だとしたら更におかしい。

陸軍管轄であるだろうここに何故海軍の大尉がいるのだろうか。

訝しがりながらもついていくあたり、威厳負けしたんだろう。


エレベーターが停止、三重の特殊シャッターが開く。

この機構は東北地方勤務の時も見たことがある。

護衛艦姫神に視察で乗艦した際、後部のヘリポートと

格納庫を閉鎖する複合装甲シャッターである。


そして、眼前に広がったのは―――



「地上に、戻ってきた・・・?」




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